歴史を見ればここからが本当のバブルになる りそなAMのエコノミスト・黒瀬浩一氏に聞く

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――⑨のバブルの正当化も始まっていますか。

注視すべき兆候は出ている。かつては政府債務の膨張に警告を発していたケネス・ロゴフや資産価格の上昇に警鐘を鳴らしていたロバート・シラーなどの大物経済学者が現在はバブルではない、といった発言をしている。今後、こうした発言がふえてくるかどうか注目したほうがいい。

⑩投資の大衆化は、過度な楽観論があふれる中で株式投資で儲けた人を見ると、われもわれもと皆が参加していく。最近、動画で相場動向を解説したり推奨銘柄を出すユーチューバーがスターのような扱いを受け始めた。テレビのゴールデンタイムでも番組が出始めたが、まだ憂慮するほどのレベルではないと思う。

⑪の極端な株価予想もまだだ。「日経平均株価4万円」という予想が出てきたが少数派だ。多くの人はコロナ禍からいったん回復した後の景気には弱気。ちなみに、米国ではこうしたNYダウいくら、という形の極端な予想は出ない。専門家個人が過去を背負う文化があるからだろう。

バブル崩壊のきっかけは金融引き締め

――⑫のバブル崩壊ですが、やはり、金融引き締めがきっかけになるということですね。

株式相場は景気と金利の関係から、①金融相場、②業績相場、③逆金融相場、④逆業績相場と循環する。崩壊はいずれも利上げを始めてしばらくしてから起きる。③の逆金融相場だ。今は順当に行けば、金融相場から業績相場へ移行する段階だ。

伝説の投資家ジョン・テンプルトンの有名な格言に「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えてゆく」というものがある。

これを、今回の相場に当てはめると、2020年3月のコロナ危機が強気相場の起点となり、懐疑の中で育ち、2020年11月のワクチン報道を受けて楽観の中で成熟に向かっている。しかし、ワクチン開発に懐疑的な人もまだいるし、コロナ禍から脱出した後について多くの人が経済成長率の下方屈折を懸念している。まだ楽観というには遠い。

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