歴史を見ればここからが本当のバブルになる りそなAMのエコノミスト・黒瀬浩一氏に聞く

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――楽観が広がっていくのはどの辺りからでしょうか。

ワクチンの普及が4~5月なので、その後、よい経済指標が出てくるころだろう。アメリカ人は反ロックダウンデモを今でもやっているぐらいで、多くの人はもう自粛なんかしていられないという感じだと思う。バカンスの予約がもう伸びていて、メディアもバカンス特集をやっている。日本人のように慎重ではなく、今から遊ぶ話をしている。アフターコロナってこんなに明るいんだ、みたいな話になってくる。

その先の株価の上がり方は企業業績次第だろう。アメリカと日本のコンセンサスは企業業績が40~50%増益で株価は10~15%程度上昇するイメージだ。増益率と株価上昇率の差でPERが修正されて、割高感が解消する。今年中に4万円というのはいくら何でも早すぎると思うが。

金融引き締めまではそうとう時間がかかる

――その先はどのくらい株高が続くんでしょうか。FRBが引き締めに転じるのはいつかということです。その意味で市場はインフレを恐れていますね。

今回、財務長官に就任したのが前FRB議長のイエレン氏だ。アメリカの労働参加率は66%だったのがリーマンショックで63%に下がった。これは100人中3人は職探し自体をやめてしまったということ。そこで、イエレン氏は金融緩和を続けてきた。

今回のコロナではこれが60%まで下がって、今、61.4%まで戻ってきた。パウエル議長が今回雇用を最大化すると言っているのは、この数字を66%まで回復させるということ。これは1000万人の雇用を作るということで、そう簡単には実現しない。それに、インフレ率が2%超えてきても金融緩和は続けるといっており、市場参加者ががインフレを恐れているのとはまったく違う見方をしている。

新しい世界が来るとはいってもやはりモノのデフレは続くので、そもそもインフレ率はなかなか上がらないと思う。そんな中株価が上昇していけば、いずれはリーマンショック後のように、Fed(中央銀行)ビューとBIS(国際決済銀行)ビューのせめぎ合いが復活すると思う。インフレにならないなら金融緩和を続けてもいいという見方と資産インフレ、すなわちバブルを潰すために引き締めに転じるべきという議論が再燃するだろう。

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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