「なんちゃってSDGs」企業が陥っている共通のわな 売り上げと利益の追求でたどり着いた世界とは

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たとえば、僕たちが手がけるミャンマーの貧困農家のためのハーブ事業(AMOMA)の場合、
・契約農家数
・借金がなくなった農家の数

この2つをソーシャルインパクトの指標に設定しています。事業の黒字経営は大前提ですが、この2つの数字を伸ばしてはじめて、AMOMA事業は成功と言えるのです。

ソーシャルインパクトは各事業が追求する指標ですが、では、グループ全体では何を指標にしているのか。僕たちが追求するのは、社会起業家の数、すなわち会社の数です。社会起業家が増えれば増えるほど、多くの社会ソリューションが生まれ、社会がより良くなっていく。そのために、年間100社の立ち上げを目指しています。

数値化して月次で追いかける

ソーシャルインパクトは数値化することが重要です。ボーダレスグループではこれらの数値を売上・利益とともに、月次で追いかけています。なぜソーシャルインパクトの設定にこだわるかというと、先述したように、これがなければいつの間にか売上・利益重視のビジネスになりかねないからです。

こうしたリスクはAMOMAも例外ではありません。

母乳育児ハーブティが産後ママの間で人気になり、ブランド認知がアップしていくと、「AMOMAブランドで抱っこひもをつくってほしい」「オーガニックコットンの授乳服を出してほしい」といった要望が実際に出てきます。日本の産後ママの10%が購入しているブランドです。要望に応えて抱っこひもをつくれば、きっとそこそこには売れるでしょう。売上・利益だけ見れば成功です。

しかし、抱っこひもの売上だけ伸びて、リンレイ村の契約農家の数が増えなければ、それは単なる金儲けのためのビジネスです。僕たちがやろうとしているビジネスではありません。

仮に、抱っこひもをつくることで、顧客との接点が増え、ハーブティを飲む母親が確実に増えるというなら、抱っこひもをつくることにも意味があるかもしれません。しかし、マーケットニーズがあるからやる、となるとソーシャルビジネスの本質から外れてしまいます。

そうやって、いつの間にか売上や利益を追いかけるだけの商売に変貌しないために、ソーシャルインパクトを設定する必要があるのです。事業が立ち上がった瞬間から、毎月そのソーシャルインパクトを数値として追いかけることで、ソーシャルコンセプトからズレずに、社会問題を解決することができます。

逆に、理念・ビジョンだけで、事業のソーシャルインパクトを設定していない、またはそれを数値として追っていない会社は、本気でそれを追いかけていないのでしょう。そういう意味では、ソーシャルビジネスとは、ソーシャルインパクトを経営指標として据えているビジネスのことをいうのかもしれません。

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