#Black4Rohingyaが映すミャンマー内の大変化 ミャンマー「統一政府」も共闘を呼びかけ

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ロヒンギャをめぐる異変とは?(写真:Facebookより)

6月13日の日曜日、ミャンマー国民らが利用するソーシャルメディア上で、とある異変が起きた。クーデター以前には起こりようがなかった、あるハッシュタグがトレンド入りしたのだ。そのハッシュタグとは、「#Black4Rohingya」。ミャンマーにおいて長年迫害されてきた、イスラム系少数民族ロヒンギャのために「黒い洋服」をまとって3本指を立てた写真を投稿し、ロヒンギャへの連帯を示そうというムーブメントだ。

13日の夕方までに、この「#Black4Rohingya」はミャンマーのTwitter上でトレンド入りし、実に33万2000件以上も拡散された。注目すべきは、このハッシュタグを拡散させたのがイスラム教徒のロヒンギャ自身ではなく、主に多数派仏教徒のビルマ族であるミャンマー市民らであったことだ。

ミャンマー市民のロヒンギャへの無関心が一転

これまで、国際社会では「今世紀最大の人道危機」などとまで称されるロヒンギャ問題について、多数派の仏教徒であるミャンマー市民からは、あっけないほどに興味関心は注がれてこなかった。むしろ、ミャンマー国内で市民に「ロヒンギャ」について尋ねても怪訝な顔をされることは多く、なかにはロヒンギャという呼称さえ知らない人々もいるほどだ。

ミャンマーのツイッターでトレンド入りした「#Black4Rohingya」。迫害されてきたロヒンギャに対しての連帯の意を表する市民のムーブメントが加速している (写真:Facebookより)

背景には、長年ミャンマーではロヒンギャに対して蔑称的な「ベンガリ」と言う呼称が使われるなど、複雑な歴史的背景が横たわり続けてきた現実がある。ベンガルとは主にバングラデシュとインドの西ベンガル州など一部を指しており、ミャンマー人にとってロヒンギャとは隣接するバングラデシュからの不法移民であり、その存在は認められてこなかったわけだ。

ヨーロッパを拠点とするロヒンギャ支援団体の共同創設者であるネイ・サン・ルウィン氏はこう話し、#Black4Rohingyaのトレンド入りを素直に歓迎する。

「ロヒンギャはこれまで、自国であるミャンマーにおいて友情を育むことはできず、敵、侵入者、さらには人間以下のような存在かのごとくみなされてきました。しかし今では多くのミャンマー国民が、ロヒンギャを”仲間”、つまり同胞として受け入れてくれています。以前は”ベンガル人”と呼んでいた人々が、今ではロヒンギャと呼んでくれているのです」

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