#Black4Rohingyaが映すミャンマー内の大変化 ミャンマー「統一政府」も共闘を呼びかけ
民主派が国軍に対抗して樹立を宣言した「挙国一致政府(NUG)」は6月3日、ロヒンギャに対して軍事政権打倒への協力を求めるとともに、隣国バングラデシュに逃れているロヒンギャのミャンマーへの帰還を約束する声明を出し、「力を合わせて国軍の独裁に対する革命に参加しよう」と呼び掛けた。
また、ロヒンギャの差別につながる1982年の国籍法の廃止も提示し、ミャンマー生まれ、あるいはミャンマー人との間に生まれた全員に対して、政権奪回後に市民権を付与することも約束した。
「ロヒンギャ」という民族名を明確に使用
これまで、アウン・サン・スー・チー氏率いるNLD政権はミャンマーの多数派である仏教徒の感情に配慮して「ロヒンギャ」という言葉は使わず「ラカイン州に住むイスラム教徒」と呼んできた。今回、挙国一致政府の声明が「ロヒンギャの人々に、われわれと協力して軍事独裁政権に対抗する『春の革命』に参加するよう呼び掛ける」と、「ロヒンギャ」という民族名を明確に使用したことは大きな注目点と言える。
さらに、挙国一致政府は、「ロヒンギャが直面している困難な状況を深く懸念している。ミャンマーの合法的な政府として、国際司法裁判所(ICJ)への協力を継続することは義務である」として、国際司法裁判所のロヒンギャ迫害を巡る審理にも協力する姿勢を明らかにした。これには、ミャンマーが国際司法裁判所に訴えられスー・チー氏が出廷した際、ジェノサイド(集団虐殺)を否定して国際社会の批判を浴びたことも意識されていると言える。
また、世界が注目するロヒンギャ問題の解決に協力的な姿勢を示すことで、「挙国一致政府」の国際的なプレゼンスを高める狙いもあるとみられる。一方で、国軍側は挙国一致政府を反テロリズム法に基づき「テロリスト団体」に指定、ミン・アウン・フライン国軍総司令官はロヒンギャと言う言葉を「架空の用語」として一蹴している。
国軍へ立ち向かうための「少数民族連合体」として勢力を強め、国際社会の理解を得るためにロヒンギャ問題の解決姿勢をアピールするだけでは、ロヒンギャ問題の真の解決には到底至らない。「#Black4Rohingya」が、単なる一過性のムーブメントで終わることなく、挙国一致政府が本腰を入れて「今世紀最大の人道危機」と言われる問題に立ち向かう転換点となるのか、いまだ予断を許さない状況だ。
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