#Black4Rohingyaが映すミャンマー内の大変化 ミャンマー「統一政府」も共闘を呼びかけ
ロヒンギャ問題におけるミャンマー市民の認識や偏見について、彼らを単純に責めることはできない。なぜなら、彼らがミャンマーという国で生まれ育つなかで受けてきた教育において「ロヒンギャ」という民族は存在せず、また国軍が運営する報道機関などでも当然ロヒンギャは不法移民として報じられてきたからだ。
さらには、70万人以上のロヒンギャ難民を生み出すことになったロヒンギャ虐殺でさえ、ロヒンギャ側が仕掛けた暴動や仏教徒女性へのレイプなどが発端であり、仏教徒を守るためには必然であった、と刷り込まれてきた実情がある。国軍によるロヒンギャ武装勢力の掃討作戦で、一般のロヒンギャ難民の殺害やレイプが起きた事実について、正確に知りうる機会は極めて少なかったのだ。
「積極的に知ろうともしてこなかった」
ヤンゴンで医療関係の企業を経営する女性は、こう打ち明ける。
「正直、クーデターが起きる前までは、ロヒンギャの方々に何があったのかを積極的に知ろうともしてきませんでした。私たちはそもそも”ロヒンギャ”という固有の民族を認めるような教育を受けてきていませんし、ラカイン州に住むバングラデシュからの不法移民と認識してきました。
ただ、私は差別主義者でもありません。ロヒンギャが野蛮なことをして仏教徒を脅かさなければ、平和に共存できるのであれば、受け入れるべきだと思ってもいました。しかし、レイプや暴動などを起こす危険な存在だというような認識をしてきたのです」と、これまでロヒンギャに対して抱いてきた感情を説明する。
「しかし、クーデター後に気付いたのです。国軍がこれほど野蛮なテロリストであり、無実の市民への暴力も厭わない存在であることを目の当たりにして、ロヒンギャの方々が受けてきた迫害がどれほど酷いものであったか気づかされました。今は、その問題について目を向けてこようとしなかったことを恥じています。もっとロヒンギャのことを知って学びたい、手を取り合いたい、そう思っています」
彼女のような思いを抱くミャンマー市民が急速に増えていることこそが、今回、「#Black4Rohingya」キャンペーンがミャンマー国内でトレンド入りしたことを裏付ける。SNS上には、ミャンマー市民からロヒンギャへの謝罪の言葉が次々に投稿され、共通の敵である国軍に対してともに連帯すること、さらにクーデター後の新たな時代の幕開けの際には、ロヒンギャ問題に目をつぶらず同じミャンマー市民としての権利を勝ち取るために戦おうと呼びかけるものもある。
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