USENの無料ブロードバンド放送「GyaO」、3年後に利益500億円? 

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USENの無料ブロードバンド放送「GyaO」、3年後に利益500億円? 

4月25日、USENが手がける無料ブロードバンド放送「GyaO」の本放送が始まった。インターネット上では有料課金のコンテンツ配信は数多く存在するが、すべてのブロードバンドユーザーを対象にした完全無料のブロードバンド放送を専門的に手がけるサイトはこれまでありそうでなかった。映画やドラマなどを数多く揃えるが、そのコンテンツ獲得の原資は広告料収入。つまり、ビジネスモデルは広告料収入で番組製作を行うテレビ局そのものだ。4月21日の決算説明会では「あくまで目指すべき想定」(宇野社長)としたうえで、アクティブユーザー(月あたりの平均接触頻度20回、平均視聴時間10時間強)が08年8月期に2700万人になれば、売上げは1500億円、営業利益500億円になるとの見方を示した。

同ビジネスに対する各証券アナリストの注目度は高く、決算説明会のなかでも「GyaO」に対する質問が集中した。宇野社長は「既にあるブロードバンドインフラを使うので大きな投資はない。GyaOをやることでUSENの知名度が上がり、自社の光ファーバー顧客を増やすことが出来る。他社が参入することも想定されるが、ベンチャー企業は我々と同じコンテンツは持ち合わせてはいない」と自社の強みを強調した。

広告ビジネスモデルを成立させるためには、映画コンテンツに加えて、民放キー局が保有する豊富なコンテンツをどう利用するかも今後のポイントだ。放送番組の2次利用は著作権処理の問題がネックとなってほとんど配信されていない。「2次利用という意識はない。あくまでフレッシュなものを並べる。番組製作段階から一部の費用をUSENが負担すれば著作権の問題もクリア出来る。今後は自社でもコンテンツの製作をやっていく」(宇野社長)と言う。初年度の売上げはほとんど見込んでおらず、システム投資や宣伝広告費などで「最大で10億円の赤字」(USEN)を見込む。

メジャーコンテンツの本格流通は今年の10月以降から展開の予定だ。ネットに持ち込んだテレビ型のビジネスモデルはベストシナリオ(売上げ1500億円、営業利益500億円)へどこまで近づくか。視聴者の数とともに広告主の動向がカギを握る。
【井下健悟記者】



《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益 1株益¥ 1株配¥
連本2004.08  121,913 5,616 4,605 1,718 278.5 0 
連本2005.08予 160,000 10,000 8,000 -16,000 -212.6 10 
連本2006.08予 180,000 14,000 12,000 6,000 79.7 10 
連中2005.02  70,805 4,522 2,505 -16,440 -253.8 5 
連中2006.02予 80,000 6,000 4,000 2,000 26.6 5 
単本2004.08  90,609 6,547 5,926 9,105 1475 0 
単本2005.08予 95,000 3,700 3,000 -10,000 -132.9 10 

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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