人が不安や後悔を抱え生きるのがしょうがない訳 向き合うのは無駄、ほとんど前向きに諦められる

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たとえば、大災害が起きてそれを生き延びれば、危険を脱したと認識できて不安が去ります。「上司の小言なんか大したことないや」とも思えてきます。つまり、安全な文明社会では、「恐怖がやってきてそれを解消する」という自然界でふつうに起きていた循環がなくなったがために、不安が高じるのです。私たちは、ごく小さな危険を過大視して、恐怖を慢性化させているのです。

文明社会で不安が高じるのは仕方がないので、少しでもうまく解消する手立てを講じましょう。最大の方策は運動です。恐怖への対処である「戦う」と「逃げる」はともに運動なので、動物は恐怖を感じたとき爪を立てる、お尻を持ち上げるなど運動の準備をします。にもかかわらず「隠れる」は運動をしない状態なので、身体に悪いのです。実際に運動をしてしまえば、恐怖が去ったと勘違いして身体が平静状態に戻れます。

お化け屋敷やジェットコースターで本当に恐怖を感じてみるのもいいですよ。恐怖に対処できれば高揚感になるからです。

後悔しちゃうの、しょうがない!

「今日のデート、やっぱり赤い服を着てくればよかった」「株価が急落。昨日のうちに売っておくんだった」「内定蹴った会社のほうに就職すべきだったかなぁ」などなど、生きていれば日々後悔は尽きないものです。

後悔は、過去の選択を気にする心理です。「よくない状態になったのは、自分の選択が失敗だったからだ」と思っての反省です。そうすれば、次に同じような状況に出会ったときによりうまく選択できるので、「後悔する傾向」が遺伝子には組み込まれているのです。

動物にも後悔に似た行動が見られます。ネズミが餌場に近づくと、五分五分の確率で電気が流れ、ネズミに電気ショックが加わる実験をします。ネズミは餌を食べたくて餌場に行きますが、ときどき電気ショックが加わるので、餌場に近づくのを躊躇するようになります。しかし、空腹になると近づいてしまい、そのときに運悪く電気ショックが加わると、「やってしまった」という行動を見せます。

人間の後悔は動物より複雑です。動物よりも過去の体験をたくさん覚えられるからです。祖先の時代、狩猟採集の失敗を後悔して、成功率が上がりました。後悔した結果、獲物の行動パターンや、木の実が熟する時期を習得でき、食べ物が豊富に手に入るようになったのです。このように、後悔すると行動の成功率が上がるので、本来後悔はいいことなのです。

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