人が不安や後悔を抱え生きるのがしょうがない訳

向き合うのは無駄、ほとんど前向きに諦められる

生物学的にしょうがないのです(写真:Graphs/PIXTA)
すぐに不安になる、つい後悔してしまうなど、ささいなことでも気になってしまう人は多いでしょう。「自分が悪い」と自らを責めてしまいがちですが、その悩みが「遺伝子のせい」だとしたらどうでしょうか。生物学的な視点から、人間が努力してもどうにもならないことと、その理由をまとめた書籍『生物学的に、しょうがない!』から不安や後悔のメカニズムにかかわるパートを抜粋、再構成してお届けします。

不安になっちゃうの、しょうがない!

不安というのは、小さな恐怖が慢性的に積み重なって解消されない状態です。恐怖というのは、生存が脅かされる危険な状態を避ける心の働きです。

敵が襲ってきたら、戦う、逃げる、隠れるなどの対処をします。戦って勝てれば高揚感になり、逃げきれれば安心感になります。ところが、隠れるという対処がくせ者なのです。

危険に対して隠れる対処をした場合、隠れていると危険が去ったかどうかがよく認識できません。隠れていても敵に見つかってしまったら、戦うか逃げるかの対処を再度しなければならないので、警戒感が持続してしまいます。危険が去らない状態でコルチゾールが分泌され続け、健康に悪影響を与えるのです。

不安には、発端となる恐怖の対象があります。

たとえば、嫌な上司からたびたび小言を言われているとします。言われるたびに下を向いてやり過ごしていると、警戒感が持続してしまいます。「今日もまた言われるかな」と思うからです。家に帰っても、職場のことを思い出したり、明日の上司との会話を想像したりして、また不安が高まります。

考えてみれば、今の社会は死と隣合わせではありません。自然界と違って、「誤った行動をとるとすぐに死んでしまう」と警戒する必要はないのです。だから、上司に言いかえしてみたり、「また言ってら」と軽くあしらってみたりすれば、大した問題でないと処理できそうです。

ところがどっこい、人間はなかなか動物的な反射から抜け出せません。死ぬほどの大問題ではないと頭ではわかっていても、警戒心が膨らんでしまうのです。これじつは、死にそうな恐怖が減ってしまったがために不安が膨らむという、皮肉な関係なんです。

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