人が不安や後悔を抱え生きるのがしょうがない訳 向き合うのは無駄、ほとんど前向きに諦められる

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いいことのはずなのに、なぜ後悔すると“嫌な感じ”がするのでしょうか。

それは、嫌な感じのほうが過去の体験を覚えていられるからです。本来、人間も動物も忘れやすいものです。ふだんはそうなのですが、恐怖や怒りなどで興奮しているときには、脳からノルアドレナリンという神経伝達物質が分泌され、その作用で記憶力が上がるのです。

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というわけで、多少の嫌な感じはがまんして後悔したほうがよさそうです。

ところが現代社会では、遺伝子の想定を超えた事態が発生しています。狩猟採集時代の単純な生活に比べて、飛躍的に複雑さが増しているのです。たとえば、転職して仕事の内容も人間関係も変わってしまったら、過去の職場体験が役に立たないですよね。

そのうえ、新しい技術や社会制度が確立されて、経験の種類ががらっと変わってしまうという事態もよくあります。そもそもパターン化できない事態にも直面します。たとえば、株価急落が見抜けなかったことを反省しても、次の急落を感知することはほとんどできません。

遺伝子としては後悔するけど、社会としては後悔してもしょうがないのです。もう、後悔を気にせずにやり過ごすしかありませんね。「それでもやり過ごせない」という方も、それすらしょうがないのです。

私たちは「しょうがない」を抱えて生きている

さて、不安や後悔だけでなく日々感じる悩みの大半は、「しょうがない」ことのオンパレードです。ほとんどに生物学的な理由があり、それらをどうにかやり過ごしているのがわれわれ人間なのです。

最後に次の10項目のうち、あなたの日頃の行動や考えていることがあてはまる項目の数を数えて、あなたの「しょうがない」度を測ってみましょう。

①周りの人の目が気になる
②ふとした瞬間に不安になっちゃう
③ついつい食べ過ぎてしまう
④給料が出るとすぐ衝動買いしちゃう
⑤イライラしちゃう
⑥片づけられない、捨てられない
⑦気が散って集中できない
⑧約束を忘れたり、時間に遅れたりする
⑨他人の意見に流される
⑩寿命で死にたくない

これらの項目はすべて「生物学的にしょうがない」人間が努力しても簡単には克服できない事柄です。

次ページあてはまる数が多いほど「生物学的にしょうがない」
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