「社会問題」のほとんどはビジネスで解決できる訳 優秀な人こそソーシャルビジネスに向いている

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効率を追求するあまり、取り残されてしまう人や地域が出てくるというビジネスのあり方こそが原因なのであれば、そのビジネスにおいて対策を講じることが本質的な解決策です。すなわち、非効率をも含めて経済が成り立つようにビジネスをリデザインすることです。

たとえば、こういうことです。従来のビジネスでは、体の不自由な人や高齢者はなかなか雇いません。また、雇用したとしても、給料は低くなっています。できる作業が限られていたり、作業のスピードが遅いことがあるからです。

そこでソーシャルビジネスが挑戦するのは、そういった方が無理のないスピードで作業しても、十分な給料を払えるようにビジネスをデザインすることです。そのためには、そのコストをまかなうだけの高い価格でも買ってもらえる付加価値の高い商品を開発する必要があります。これは簡単なことではありませんが、最初からそれを前提にビジネスを設計しておけば実現可能なのです。

社会的活動を事業として成立させることができれば、公的支援に頼らず、経済的に自走できるようになります。事業が成長すれば、たくさんの雇用を生み出し、その課題解決に従事する人も増えます。事業として取り組むことでより早く、さらに大きなインパクトを生み出すこともできるようになります。

善意で買ってもらえるのは1回まで

ビジネスとして取り組むべき理由をもう1つ加えるとすれば、生活者が消費活動を通して社会問題の解決に貢献できるようになるということです。NPOへ寄付する形での社会貢献もあれば、たとえば障がいのある人が作った製品を買うことでも、障がい者の雇用づくりに貢献することができます。生活者にこうした選択肢をたくさん提供することも、ビジネスだからこそできる、とても大切な役割だと思っています。

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このとき気をつけなければいけないのは、善意だけで買ってもらう商品やサービスは長続きしないということです。お客さんは、最初は社会貢献という意味合いで買ってくれることがありますが、1回買うとその善意は満たされてしまい、単発的な関係で終わってしまうことも少なくありません。「社会貢献になるから買う」だけではなく、シンプルに「モノがいいから、サービスがいいから買う」という要素がないと、選び続けてもらえないのです。

つまり、非効率を含んだビジネスでありながら、「これ最高だよね」と生活者が買い続けたくなる商品やサービスをいかに提供していくのか。ここがソーシャルビジネスに挑戦するビジネスパーソンの腕の見せどころでもあります。

簡単ではないけれど、やりがいはとてつもなく大きいです。だから、一流のビジネスパーソンこそ、社会問題をビジネスで解決することに挑戦してほしいと思っています

田口 一成 ボーダレス・ジャパン社長

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たぐちかずなり

1980 年生まれ。福岡県出身。早稲田大学卒業後、株式会社ミスミ(現・ミスミグループ本社)を経て25 歳で独立。ボーダレス・ジャパンを創業。世界15 カ国で40 のソーシャルビジネスを展開。従業員は約1,500名、グループ年商は55 億円を超える。さまざまな社会問題をビジネスで解決する同社は、「グッドデザイン賞」「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」受賞。個人としても、Forbes JAPAN「日本のインパクト・アントレプレナー35」や日経ビジネス「世界を動かす日本人50」などに選出されている。『ガイアの夜明け』『カンブリア宮殿』など、メディア出演も多数。

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