「社会問題」のほとんどはビジネスで解決できる訳 優秀な人こそソーシャルビジネスに向いている

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おそらく、手先が器用で物覚えが良く、1日8時間・週5日働ける人を雇いたいと考えるでしょう。反対に、体の不自由な人、時短勤務を余儀なくされる人や高齢者、言葉の通じない外国人などは積極的には雇わないと思います。それはなぜか。作業効率が悪くなるからですよね。

もう1つ例を挙げましょう。これから農業経営を始めるとします。好きな場所を選べるとしたら、どこで農業を始めますか?

大消費地に近く、トラクターを使って一気に作業ができる広い土地がいい、と考えるのではないでしょうか。消費地から遠く離れた山間部の狭い土地をわざわざ選ばないはずです。なぜなら、効率が悪いからです。

効率の追求が社会問題を生んでいる

資本主義社会におけるビジネスの本質は、一言でいえば「効率の追求」です。

ビジネスに携わる人ならご存知のように、商品の売値を上げるのは容易ではありませんから、普通は徹底した効率化でコストを下げて利益を確保しようとします。

ビジネスとしては当たり前の行為かもしれませんが、みんなが効率を追求すればするほど、効率よく働けない人や地域がマーケットから取り残されていく。つまり、効率の追求という資本主義の基本原理がさまざまな社会問題を生んでいる、とも言えるのです。

「こうした社会問題を解決するのは、政府や自治体、NPO、あるいは市民団体がやることではないか」と思っている人も多いかもしれません。

もちろん、公的な支援や善意によるサポートはとても重要です。でもそれだけでは十分でなく、ビジネスパーソンこそがその解決に挑戦すべきだと考えています。なぜなら、非効率だからと置き去りにされた人や地域も含めた形でビジネスをデザインし直さなければ、根本的な解決にはならないからです。

どんな問題も、その本質的な原因に対して対策を講じなければ、根本的な解決にはなりません。もし行政が問題の原因ならば行政に手を打つべきですし、法制度がそうならば法制度を変えることが対策になります。

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