また、日本株の復調をもたらした第2の要因としては、消費増税による日本経済の落ち込みが和らいでいると認識され始め、2014年度の企業業績悪化懸念が和らいだことが挙げられる。実際に、消費増税が実現した4月以降の消費関連データの中には、4月半ばから戻りつつある指標がある。
現時点の日本経済への認識は、「ニュートラル」
そして、大手メディアなどが、それらの指標や、外食や百貨店などの売り上げが堅調であることをとりあげ、増税後の落ち込みは想定内であることをポジティブに伝えている。増税後に景気が大きく落ち込むかもしれないと心配していた投資家にとっては、そうした報道はやや意外だったので、不安が和らいだということだろう。実際に日本株市場の中でも、最近、小売り関連株のパフォーマンスは堅調である。
ただ、実際に、消費増税後の日本経済の落ち込みが軽微だったかというと、決してそうではない。個人消費の駆け込み需要と、その後の5月までの大きな反動減は、前回増税が実現した1997年とほぼ同じある。事前の想定どおりに日本経済は大きく落ち込んだと筆者は判断している。
そして、2014年度は増税の足かせで個人消費回復は期待できないが、春先からの設備投資や輸出の回復で日本経済は復調すると予想している。ただ、こうした筆者が描くストーリーの蓋然性が高まっていると判断できるほど、明確に強い経済指標は今のところない。多くが大きな落ち込みから少し戻っているという、当然の経路をたどっているに過ぎない。こうした意味で、日本経済の状況は、日本株の見通しにとってニュートラルと筆者は判断している。
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