仮に6月以降の日本株の戻りが、この第2の要因、増税後の景気動向への見通しの変化がもたらしているとすればやや心配である。日本経済については、良い、悪い経済指標も混在しているのに、景気動向に対して楽観方向に傾いていることになるためだ。
「曇ったレンズ」でマーケットを見てはいけない
これはデータをきちんと解釈せずに、「曇ったレンズ」で日本株市場を見ているのと同じである。であれば、今後発表される日本の経済指標もまちまちな状況が続くだろうから、景気停滞を示す指標に対して、市場が予想外にネガティブにとらえる場面もあるだろう。
また、以上と別の観点で、安倍政権の成長戦略が6月末に固まり、これが日本株高をもたらしたとの見方もあるようだ。ただ、これまでも説明してきたが、政府が掲げる「成長戦略」には期待するのはまだ時期尚早だし、そして成長戦略のプランの中には、成長阻害につながる危ういメニューも混在している。外国人投資家のアベノミクスに対する期待が戻ったという解釈なのかもしれないが、これも、先に述べたのと同様、「曇ったレンズ」を通じて株式市場を見ているのと同じだろう。
これら2つの「曇ったレンズ」を通じて、日本株市場を見てしまうと、今後投資判断を誤りかねない。「思わぬ損失」を被るリスクが高まろう。
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