駅周辺アクセスは「シェアサイクル」で改善できる 震災10年の津波被災地をたどる・福島相双編

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出張客がこの駅を利用するとすれば、駅へのアクセス手段は送迎の車になるだろう。ただ、「COGICOGIシェアサイクル」との看板を掲げた、自転車も3台置いてある。木戸駅や竜田駅でも見かけたが、電動アシスト自転車のレンタルサービス「ならはsolar e-bike」だ。

Jヴィレッジ駅に置かれたシェアサイクル(筆者撮影)
広野駅東口の駅前広場(筆者撮影)

専用アプリをダウンロードして、クレジットカード決済で支払う。15分ごとに50円と使いやすい料金設定だ。公式サイトを見ると観光客向けをうたっているが、天候次第とはいえ、ビジネスにも使えそうである。ただ、今のところ楢葉町内だけのサービスだ。

Jヴィレッジ7時04分発で、さらに1駅南の広野へ。2011年10月10日から2014年5月31日まで、ここが運転再開区間の北端であったから何回も乗り降りしており、ちょっと懐かしい。従来の広野町の中心部は駅の西側で、駅舎も昔のままだが、東側(海側)には駅前広場とニュータウンが出来上がっており跨線橋で結ばれていた。

広場は2018年3月に完成。ホテルやオフィスビル、病院などが集まっている。また駅から3分のところに2015年、福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校が開校した。「復興のカギは人材育成から」との双葉郡各町村の方針によりできた学校で、鉄道でのアクセスも至便。常磐線の利用客増にも資する施策だ。復興へ向けての力強さを感じた。

橋上駅舎には不便な点も

広野7時34分発の原ノ町行きで、再び北上する。7時44分着の竜田で下車。ここも2014年6月1日の広野―原ノ町間の運転再開から2017年10月20日まで、復旧区間の北端であった。2015年1月31日からは竜田―原ノ町間の列車代行バスの運転が始まり、何度も乗り換えている。

橋上駅舎となった竜田駅(筆者撮影)

ただ、2020年12月1日から、線路を挟んで東西を結ぶ自由通路に面した橋上駅舎の供用が開始されており、雰囲気が大きく変わった。木造駅舎は跡形もない。もちろんエレベーターは完備されており、バリアフリーは完璧だ。

しかしながら、各地で見られる現象ではあるものの、改札口と一部のホームが直結していた旧駅時代の簡便さは失われた。駅前広場と原ノ町方面行きのホームとの間は、フェンス1枚で仕切られているだけなのに、いったん上がって改札口を通り、もう一度、降りなければならない。

駅東側ではやはり復興事業による開発が進んでおり、線路を挟んだ東西を結び、津波が再び襲ったとき、避難しやすいようにと整備するのはわかる。だが、融通を利かせてもいいと思う。

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