鉄道の減便「需要読み違え」招いた行政の誤算 通勤の抑制には一般企業の協力が不可欠だ
新型コロナウイルス感染症流行に伴う東京都や大阪府などの緊急事態宣言を受けて、JR東日本、JR西日本や大手私鉄などが、ゴールデンウィーク中の一部列車の減便を4月下旬に相次いで発表した。関西の各社が、主に深夜時間帯や土曜・休日の列車を減便対象としたのに対し、関東の各社は連休中の平日に当たる4月30日と5月6、7日の、朝夕ラッシュ時間帯の列車を減便対象としたことが異なっていた。
減便で「密」な状況に
ただし関東においても、JR東日本とその他の各社では様相がやや異なっていた。
当初の発表では、大手私鉄の大半が数本の運休、一部区間運休にとどめたのに対し、JR東日本は山手線、京浜東北・根岸線、中央線快速、中央・総武線各駅停車、青梅線、常磐線、京葉線と主要な通勤路線において、朝通勤時間帯には「概ね8割程度の運転」としていた。つまり、約2割もの列車を削減する計画であった。また、山手線、京浜東北・根岸線、中央・総武線各駅停車では、夕方の通勤時間帯の削減も予定していた。
見込みでは、自治体の外出自粛要請、リモートワークの推進などによって、連休中の平日の通勤客数は、通常より大きく減るはずであった。しかしふたを開けてみると、祝日と土曜日に挟まれた4月30日は乗り切れたものの、5連休明けの5月6日には予想以上の通勤客があり、各線で混乱も見られた。運転された列車には、より「密」な状況が発生。感染症対策としては非常によくない状況となってしまったのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら