占い歴28年、「中村あゆみ」がたどり着いた境地 占いの結果と自分の決断が違ったらどうするか

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――そういう信頼できる占い師に、なかなか出会えない人も多いと思います。

そうですね。占いで騙されたりする人は、やはり「依存」から始まっていると思うんです。自分の判断がない、言われるがままの人生。でも人生は「自分の選択」です。自分の意志で選べるようになり、悪いことは信じず、いいことだけを積み上げてく。「でも」や「だって」で自分の想いを否定しない。そうすると、いつしか本物に出会えるし、自分が本当に必要なものや人に出会えます。

デビューの時を思い出してもそうですね。何の伝手もなく、根拠のない自信だけで東京に出てきて、心の底から歌手になることだけを願いました。そしたらある日、部屋に泥棒に入られてものすごくショックだったんですけど、結果的にそれがプロデューサーとの出会いにつながったんです。道筋が光るようにつながった感じでしたね。

私もどこかでわかっています。「占いっていらないよね」って。占い師さんもみんな言っていますよ(笑)。私の場合は、ただ確認したいだけなんですよね。「これで間違っていない?」って。そして、それを占い師さんに確認したり、話したりすることで歩きやすくはなる。自分が考えていることと、占い師さんが言っていることが一緒であれば、そこは間違いなくいいよね、となる。そして違った場合は、ちょっと気をつければいいと思う。

(撮影:梅谷 秀司)

――お話をうかがっていると、適度なスタンスで占いと付き合っていると感じます。

占いは結局占いでしかない。未来というのは、自分が切り開いていくものだから。だから、この占いの結果と自分の選択が違った場合、大事なのは最後にどちらが心地よく感じるか、ですよ。心の中に引っかかりがあるときは、たとえそれが当たるという占い師の話でも、どんな儲け話でもやめたほうがいいです(笑)。結局、自分が選んだ道がうまくいかなかったとしても、ステップアップやキャリアにつながるかもしれない。これはやってみないとわからないです。

占いに依存してしまう人は、(占いを通して)安心感が欲しいのだと思うけど、自分の人生だったら自分で決めて自分で後悔をしたほうがいい。どんどん失敗してもいいと思うの。自分で一生懸命考えて大丈夫だと思って挑戦したのに失敗したとする。でもその失敗をしたらこそ成功するという道順もある。そこがわからないから、人生は面白いんだと思うの。

「Over the Rainbow」に答えがある

――昨年は初のジャズアルバムをリリースされましたね。

2004年に他界した父が、ジャズが好きで、遺品整理をしていたときに擦り切れんばかりに聴き込まれたカセットテープを見つけました。そこには、父が愛したジャズのスタンドナンバーが収録されていて、いつか天国の父に聴かせたい、という気持ちがあったんですね。

今年3月にリリースした自身初となるジャズアルバム『Enter』

コロナ禍でエンターテインメント業界も苦境に立たされていることにも背中を押され、昨年レコーディングしました。実はジャズのアルバムを出すことを、アメリカの占い師さんはピタリと言い当てていたんですよ。ずいぶん前に。

このアルバムの中に「Over the Rainbow」が収録されていますが、歌詞の中に「一点の曇りのない心の中にすべての願いが叶う場所がある」という一節があります。私はこれがすべてだと思っています。今回、自分がやりたいこと、歌いたい歌だけを詰め込みました。収益よりも自分が好きなことを優先したアルバムです(笑)。

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