「アフリカの近未来」を日本人が予測できる理由 公団住宅、家電、外食、ファッション、海外旅行

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アフリカで1万ドルのレベルに達しているのは、南アフリカの首都・ヨハネスブルクと、豊かな石油資源を持つボツワナ、リビアです。

アフリカには大きなチャンスが潜んでいる

一足先に3000ドル、1万ドル、2万ドルをこの50年で体験してきた日本人は、実は、どのタイミングで何が起きるかを、よくわかっているはずです。

ファッション雑誌を出すのであれば、どのタイミングなのか。1万ドルなら、どんなものが必要とされるのか。そうした経験やノウハウを、もっと活かすべきです。同じようなことがこれから起こる国々がたくさんあるのですから。

中国でも、東南アジアでも、インドでも、ほとんど同じタイミングで、同じことが起こっています。これはアフリカにも必ず起きるはずです。もっと復習をして、アフリカでビジネスを推し進めていくべきなのです。答えはわかっているはずなのですから。

振り返れば、私が生まれた頃は、日本はまだ1人当たりGDPが1000ドルの国でした。その当たりから高度成長を経て、奇跡と言われるすさまじい成長を遂げていった。円も強くなった。当時は、あちこち、工事だらけでした。

しかし、3万ドルを超えた当たりで、日本は完全に足踏みをしてしまいました。マンションを買ったら、数年後には2倍、3倍となっていた時代から、今や値上がりどころか目減りしてしまうことが当たり前になった。

ちなみに、アメリカはそうではありません。1990年に買った家が、2020年には4〜5倍になっている。株もここ30年で日経平均は横ばい、ニューヨーク(ダウ平均)は約9倍です。平成の30年間で、日本は完全に国のかじ取りを間違えたということです。

資産も増えず、給与も上がらず、経済成長も低水準のままだった。そして、世界の1人当たりGDPランキングも、30位近くまで順位を落としてしまった。

3万ドルまではうまくいったけれど、そこから先のビジネスモデルを構築できなかった。得意だった家電・ケータイ・半導体などのモノづくりで韓国・中国に負け、GAFAのような新しい事業も生み出せなかった。

ここからいかに新たな経済モデルを作れるか。今、日本はそれが問われていると思います。そしてアフリカには、大きなチャンスが潜んでいます。よく目を凝らしてみれば、日本人には、そのチャンスが見えるはずなのです。

●問題の解答

問1 1人当たりGDPが1000ドルを超えたときに日本で起きたことは?
① 多摩ニュータウン開発

問2 1人当たりGDPが3000ドルを超えたときに日本で起きたことは?
① 日本マクドナルド1号店オープン

問3 1人当たりGDPが1万ドルを超えたときに日本で起きたことは?
① 東京ディズニーランド開業
椿 進 AAIC代表パートナー

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つばき すすむ / Susumu Tsubaki

Asia Africa Investment and Consulting(AAIC)代表パートナーを務めるアジア・アフリカビジネスのスペシャリスト。東京大学教養学部卒業。ボストン コンサルティング グループ(BCG)のパートナー・マネージングダイレクターとして、事業戦略、M&A戦略のプロジェクトを実施。2008年に現AAICを創業し、代表パートナーに就任。中国・東南アジア・インド・中東・アフリカ等で、新規事業育成、市場参入支援等をコンサルティングと投資を通じて実施。日本初のアフリカ・ファンドも運用。ルワンダではマカデミアナッツ農園も手がけている。執筆、講演多数。ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学大学院教授として後進の育成にも力を注いでいる。

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