「アフリカの近未来」を日本人が予測できる理由 公団住宅、家電、外食、ファッション、海外旅行

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水道の普及も同様です。日本が普及率50%を超えたのは、1967年頃です。それまでは、井戸水を使ったりしていました。

アフリカ諸国における飲料可能な水の普及度合いというデータがあります。「水道がある」「水道は来てないけれど近くに井戸がある」「川や池に水などを使っている」などのデータです。90%を超える水道普及率の国もありますが、いずれも、そのままでは飲めません。沸かさなければなりません。

ただ、これを見ると、アフリカの多くの国が60〜70%。日本は1960年代から70年代にかけて一気に普及率が上がったのですが、その頃の日本と同じタイミングにある国が多いようです。

日本のMMRや水道普及率と同様に、一定の経済水準になると普及が一気に進むものがたくさんあります。アフリカの多くの地域は、日本の1970年代に近い状態にあると思っています。

1人当たりGDPが1000ドルを超えると起こること

あるときエチオピアで、早朝、銀行の前に人だかりを見ました。何をやっていたのかというと、公団住宅の抽選です。そこに並んで抽選をして、当たって頭金を10%程度積んだら公団住宅が買えるそうなのです。

これが大人気で、毎朝すごい行列になっている。当然だと思います。絶対に値段が上がるからです。エチオピアだと、3〜5年で2倍になるそうです。50㎡で300万〜400万円程度。これが、値上がっていくのです。

実はこれと似た光景が50年前の日本でも繰り広げられていました。もっとも日本では、抽選は銀行の前ではなく、はがき抽選でした。典型的な例が、多摩ニュータウンです。1970年代初頭の売り出し価格は約400万〜800万円。そして5年程度で2倍になったそうです。

多摩ニュータウンの開発が決定した1966年前後は、日本の1人当たりGDPがちょうど1000ドルを超えた年です。面白いことに、後のアジアでもアフリカでも同じなのですが、1人当たりGDPが1000ドルを超えると、中所得者向けの公団住宅(新興国ではアフォーダブル・ハウジングという場合が多い)を国が整備し始めるのです。しかも、決まって値段は400万〜500万円ぐらいから。

そしてこのような共通事項は、公団住宅だけに限りません。新興国と日本との1人当たりGDPによる「時代換算マップ」が描けるのです。

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