「フォートナイトとの闘い」でアップル譲歩の理由 圧倒的強者に立ち向かう「ナラティブ」の力

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「フォートナイト」はアップルの「1984」CMをなぞらえたツイッター動画で対抗(出所:フォートナイトのツイッター日本語公式アカウント 2020年8月14日午前7時34分投稿 〈最終閲覧日:2021年6月1日〉)
人気ゲーム「フォートナイト」の課金制度をめぐるエピックゲームズとアップルの「闘い」では、独裁者vs救世主の図式のパロディー動画によってアップルが独裁者「ビッグ・ブラザー」になぞらえられている。「新たな革新者こそがフォートナイト(エピック)である」というパーセプション(認識)を、エピックはどのようにして獲得しようとしているのか。
ナラティブカンパニー』を上梓した本田哲也氏が、現在進行形で続く「独裁社会からの解放」という社会普遍的なナラティブについて解説する。

「フォートナイト」の開発元がアップルを訴えた

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「われわれは、ユーザーの利益のために決断している」──5月21日、アップルの最高経営責任者(CEO)であるティム・クック氏は、カリフォルニアの裁判所で強く主張した。人気ゲーム「フォートナイト」の開発元エピックゲームズ(以下、エピック)がアップルを訴えた裁判で、初めてCEO自らが出廷したのだ。エピックは、アップルの「アップストア」の運営が「反競争的」だと主張してきた。アップルは意図的な規約違反があったとして、2020年8月にアップストア上でのフォートナイトの配信を停止。これを受けてエピックはアップルを提訴し、直後にアップルも反訴した。

言ってみれば、これは「独占か否か」をめぐる、大企業同士の大ゲンカだ。法廷での決着の行方はいまだにわからない。しかし、この一連の騒動を「ナラティブ」の視点から眺めてみると、非常に示唆に富んでいることがわかる。この出来事は、1980年代から続く、連続した「物語」の一部なのである。どういうことか? それにはまず、1984年に時計の針を戻す必要がある。

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