車椅子が「かっこいい乗り物」へと変わる理由 「企業と生活者が共に紡ぐ物語」の脚本づくり

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「車椅子」→「パーソナルモビリティ」へとパーセプションを変えようとしている(画像提供:WHILL)
車椅子を誰もが乗りたくなるような革新的なパーソナルモビリティとして再定義しようとしているベンチャー企業がある。障がいを持っている人や足腰が弱った高齢者が乗るものというイメージ、人々のパーセプション(認識)をどうやって変えていくのか。『ナラティブカンパニー』を上梓した本田哲也氏が、車椅子に対するネガティブな「パーセプション」を変え、新たなライフスタイルを提案するナラティブ(物語)のスクリプト(脚本)作成のコツについて解説する。

「すべての人の移動を楽しくスマートにする」

「100メートル先のコンビニに行くのをあきらめる」。

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WHILL(ウィル)株式会社がパーソナルモビリティの開発を始めたきっかけは、ある一人の車椅子ユーザーの一言だった。悪路や段差などの物理的なハードル。「車椅子に座っている人」と周囲から見られる心理的なバリア。それらがない混ぜとなった重い言葉だった。

同社は、パーソナルモビリティ製品の開発、生産、販売や、近距離移動サービスの提供を行う2012年設立のまだ若い会社。パーソナルモビリティとは、一人乗りの乗り物のことだ。

車椅子にまつわる物理的なハードルと心理的なバリアは、テクノロジーとデザインの力で乗り越えられるはずだ。最初は福祉用具としてつくられたけれど、やがてファッションアイテムになった眼鏡のように、車椅子を誰もが乗りたくなるような革新的なパーソナルモビリティとして再定義しよう。

ミッションは「すべての人の移動を楽しくスマートにする」。

こうして、近距離モビリティという新しい移動手段の開発が始まった。初号機「WHILL Model A」を発表したのは2014年。その年には国際的なプロダクトデザイン賞であるレッド・ドット・デザイン賞、翌2015年には国内でグッドデザイン賞を受賞したことをきっかけに、国内外でも注目を集め、テレビで紹介されるなど認知はされ始めた。

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