最新!「志願者数が多い大学」ランキングトップ50 コロナや新入試の影響で軒並み志願者数減らす

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大都市圏の大規模私立大では、定員の厳格化が実施されてきた。これは大都市圏の大規模私立大が地方から受験生を集めすぎているとの批判から、地方創生の視点で入学者数を抑制する政策だ。

大規模大学は2015年までは入学定員の1.2倍未満まで入学させられたが、2016年から段階的に減らして2018年には1.1倍未満に減った。これが今も続いている。1.1倍を超えて入学させると、国からの助成金がもらえない。助成金は私立大収入の約1割を占めるため、各大学はこれを順守した。

入学者を減らすということは合格者を減らすことにつながる。結果、入試が激化した。受験生は併願校を増やすことで乗り切ろうと対策をとったが、昨年あたりからそれが緩み始めた。少子化が進むことで、たくさん併願しなくても合格できるようになったからだ。

そのうえ、コロナ禍の影響で昨年はオープンキャンパスや、大学が集まって開催される合同説明会などが実施されず、受験生は志望大学の情報収集に苦労した。関心の高い第1志望、第2志望は調べても、志望順の低い大学の情報収集には手が回らない。「知らない大学は受けない」という行動から併願校数が減ったとみられる。

また、感染予防の観点から何度も受験に行くのを避け、共通テストの成績だけで合否が決まる方式や、全学部統一試験などを受ける受験生が多くなった。全学部統一試験とは、全学部が同じ問題で1日に試験を行い、その際に第2志望や第3志望の学部にも出願できる方式だ。一度の受験で、何度も合否判定が受けられるわけだ。

推薦やAOで年内に大学を決める受験生が増加

3つ目は年内に合格を勝ち取った現役受験生が多かったことだ。コロナ禍の影響で、年明けに入試が行われるかどうかわからず、不安から年内に行われる総合型選抜(旧AO)や学校推薦型選抜で合格を決めた受験生が多かった。

ただ、これらの方式は、志願者が大きく増えたわけではない。総合型選抜では出願資格に当たるさまざまな活動が、コロナ禍によって制限されたこともあり、出願資格が大学の条件を満たさない場合もあったようだ。大学によっては年明けに入試が行えるのかどうかの不安があり、年内入試で多めに合格者を出して入学者確保を目指した。人気だったのは指定校推薦だった。

4つ目はコロナ禍による地元志向の高まりだ。坂口氏は「難関大には地方からの受験生が来ているが、それ以外では地元の国公立大で十分との考えが強まった」と指摘する。では、地方の大規模大学に志願者が集まったかというとそうでもない。「例えば、コロナの感染者が多かった福岡にある大学では、九州の他県の受験生から敬遠された面もあり、地方によって事情は違った」(坂口氏)。

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