入試を受けやすくしたから志願者が増えるということではない。千葉工業大学は「ロボット」と「宇宙」の最新研究で知られている。同大学は東日本大震災後に福島第一原子力発電所に最初に投入されたロボットを開発したことで有名になった。
松井孝典学長が宇宙研究の第一人者だ。大学のパンフレットはマンガ『宇宙兄弟』とコラボしたものだ。ロボット、宇宙分野だけでなく、研究が広く深く進められているからこそ入試改革も効果がある。
入試改革が奏功した立教
MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)で唯一志願者増となったのが11位の立教大学だ。4167人、6.8%増だ。今年から実施した入試改革が受験生の支持を集めた。全学部全日程試験に改革し、併願日程を柔軟に組めるようにして併願者が増えたこと、英語の試験を外部英語試験の成績か共通テストの英語の成績にして、受験生の負担を軽くしたことが奏功した。
入学センターの和田務課長は「文、異文化コミュニケーション学部は英語が得意な志願者が増えたからだとみている。この改革に踏み切ったのは、1年生全員で英語のディベートの授業を導入するカリキュラム改革があり、4技能のマインドを学生に求めているから。そして、入試が大きく変わることを早くから周知したことも志願者増の要因かと思う」と分析する。
立教大学は、リクルート進学総研の高校生を対象にした「進学ブランド力調査」の、「入試方法が自分に合っている」という項目で、2019年の関東エリア16位から2020年は1位と一気に上昇した。
立教大学はコロナ対応も早かった。大規模大学の中で昨年の前期の授業をオンラインにすると早々に発表したのが立教大学だ。さらに、今年は1年生の授業を対面中心にしていくと発表している。
関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)では23位の関西学院大学のみ1.2%の志願者増だった。今年は神戸三田キャンパスにある理工学部を理、工、生命環境、建築の4学部に再編した。これが志願者増の大きな要因となった。「理系学部の再編では、学部をわかりやすくしたことと、全学日程の選抜で一度受験すると科目の配点を変えた2方式で合否判定が受けられるようにしたこともあって、志願者が4割ほど増え、それが全体の志願者増につながった」(入学センターの岡田隆次長)。
2022年度入試の受験生は、高校2年生のときの課外活動がほぼ止まってしまった世代だ。自己アピールのための英語民間試験の受検も難しく、大学が実施するオープンキャンパスなどにも参加できなかった。3年生になった今後もコロナ禍の状態が続けば、これからの入試準備がさらに厳しいものになる。大学も総合型や学校推薦型選抜の出願基準を変えざるをえないだろう。今年のように共通テストが追試験も含めて3回実施されるのかなども含めて、今後の入試制度の変更などにも例年以上に注意が必要だ。
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