人気再燃「ゴルフ」初心者悩ますクラブ購入のコツ コロナ禍と松山効果で盛況、サブスクも登場

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最後に「クラブを買わずにゴルフができないか」と思っている方へ。

筆者が一昨年、武蔵野美術大でゴルフビジネス論の1コマを担当したときにとった学生へのアンケートでずっと気になっていたことがある。「クラブを買っても部屋に置く場所がない」という回答だった。

その課題を解決するのが、ゴルフクラブセットのサブスクリプション(サブスク)サービスになるのかもしれない。ゴルフ界ではこれまでに見られなかったビジネスモデルだ。

5月12日から始まった「クラぶら」というサブスクサービスがある。展開するトリプルダブルの田村一人代表は、もともとスポーツとインターネットを結びつける仕事をしており、独立後もゴルフとかかわりがあった。

「ゴルフ人口が減ってきて、根本的な解決ができていない。若い人を増やすにはまずはプレー代とクラブが高いということを払拭しないと。プレー代は私1人の力では難しいが、クラブはできるかも」というのが、始めた理由だという。コロナ禍の最中に準備し、図らずも若い層の新規ゴルファーが増えてきた。

「クラぶら」は男性には残念だが、女性限定のサービス。現在、練習場3カ所、ゴルフ場2カ所に田村氏と関係があるPINGから購入したセットを置いている。「いいクラブを使ったほうがいいだろうと。クラブの性能が悪くて、ゴルフをやめちゃうということがないように」と、メジャーチャンピオン渋野日向子や鈴木愛らが使用して、女性人気の高いクラブを選んだ。

手ぶらで行って帰ってこられる

予約すれば、手ぶらで(シューズなどは必要だが)コースに行って、コースにキャディーバッグごと返却して帰ってこられる。家の置き場に困ることはない。会員になると、月額定額制で月3回使用3600円、6回5900円、無制限9800円(すべて税込み)の3コースを選択できる。

ゴルフ場や練習場にレンタルクラブを置いてあることも多くなってきたが、古いモデルだったり、主要メーカー品ではなかったりすることも多い。「欲しいけど買えない」と思っているクラブでプレーできるなら、楽しさも増すだろう。

田村氏は「始まったばかりで、まださざ波も立っていません」と笑うが、ゴルフ場や練習場のほか、クラブメーカーや一般企業の福利厚生としての利用などの問い合わせが来ているという。

サービスを提供するゴルフ場、練習場が増えてくれば、男女を問わず利用できるサブスクの波がゴルフ界にも来るかもしれない。プレー料金が下がってきている中で、若い層、新規層がゴルフに入りやすくなってくる。

「クラブをどうしたらいいだろうか」と新規ゴルファーが思っているなら、ゴルフ業界が連携して応えていくことを考えたい。コロナワクチン接種が進み、普通の生活を取り戻してきたときに、ゴルフから離れていくような「コロナ禍限定スポーツ」で終わらせたくない。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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