火災保険は、もともと火災や落雷、台風、ひょう、雪、洪水といった自然災害で被害を受けた場合などを補償する保険ですが、「経年劣化」の部分は補償対象外です(近年の主な自然災害は下記図を参照)(外部配信先ではグラフや図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。
よく考えてみると、もしも対象だったなら、あちこちの家の修理代を保険でカバーすることになり、今のように年間数万円の保険料負担で済むはずはありません。それを、「経年劣化」の部分もまるで自然災害によって被害を受けたように装って請求することは、保険金をだまし取ろうという行為を働いたことになりかねず、要注意です。
たとえ業者に「大丈夫ですよ」と言われたのだとしても、保険金請求をしたのはあくまで自分なので、保険契約者自身にも大きな責任があることを認識しておく必要があります。
業者が屋根や雨樋を故意に破壊
そして3点目は、業者が屋根や雨樋を故意に破壊し、自然災害による被害と見せかけて保険金請求するケースです。屋根の上は、業者は上がれても契約者本人が登るのは危険なため、直に被害状況を確認することはなかなか難しそうです。
また、業者がわざと破壊した部分かどうかは素人目にはなかなか判断できませんが、損害保険会社が依頼する専門家(損害保険鑑定人)ならまず見抜けます。故意の破壊の可能性がないか、注意は払っておきたいところです。
わが家が屋根の修理をすることになったのは、ひょんなきっかけでした。お隣の屋根の修理(工事費およそ10万円)をしていた業者が、「そちらの屋根材に穴が開いているように見えるのですが……」と写真を見せてくれたのです。
見ると確かに数カ所に穴が開いているように見えます。「塞ぐのにどれくらいかかりますか」と聞いたところ、「樹脂で塞くだけなので、今見えている穴だけなら数分です。ただ、こちら側(お隣側)から見えている部分だけなので、見えない側の屋根のことはわからないですが」とのこと。費用も1万円くらいとのことなので、早速修理をお願いすることにしました。
そして、いざ修理となった当日。屋根に上がった業者が、困った顔で降りてきました。なんでも、お隣から見えない部分も含めると30数カ所穴が空いていて、屋根材もかなりひび割れているというのです。わが家は築14年ほど。建築当初、仲介業者からは屋根材は20年もつと言われていました。少なくともあと5年は大丈夫だろうと考えていたため、まさに青天の霹靂でした。
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