中国企業をいまだに侮る人が知らない躍進の本質 日本人が想像もできてなかった変化が起きている
1990年代以降、「世界の工場」として驚異的な経済成長を遂げた中国は、2010年にはGDPで世界第2位の経済規模へと成長した。とくに注目すべきは、21世紀になってからのこと。いうまでもなく、世界経済に大きな影響を与える存在として認知されたからである。
ところが近年は、成長を支えてきた大量投資と輸出主導の経済発展モデルが行き詰まりを見せ、経済成長の伸び率も鈍化している。その傾向は今後も続くと予想されるが、だとすればそうした状況から脱出するための手段を模索するところだろう。
現在、中国はイノベーションによる発展、そして戦略の転換を目指している。具体的にはデジタルエコノミーの勃興を経済成長の新たな機動力と位置づけ、デジタル技術の開発および社会実装によって新たな未来像を描こうとしているのだ。
『チャイナテック: 中国デジタル革命の衝撃』(趙 瑋琳 著、東洋経済新報社)は、その原動力である中国のテック企業、すなわち「チャイナテック」のポテンシャルに焦点を当てたものである。
デジタルエコノミーのトップランナーは中国
GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の台頭に明らかなとおり、世界各国がデジタルエコノミーの進展にしのぎを削るようになって久しい。しかし、いまやそのトップランナーは中国であり、その象徴こそがチャイナテックなのだと著者の趙氏は強調する。
中国遼寧省瀋陽市出身の、伊藤忠総研 産業調査センター主任研究員。大学卒業後に来日し、日本の技術力や文化などに魅了される日々を送ってきた。しかしその一方、中国に帰るたび、その変貌ぶりに驚かされたのだという。
もはや中国の都市生活においては、スマートフォンなしでは生活が成り立たず、「財布をなくすより、スマホをなくすほうが深刻」とまでいわれているそうだ。
もちろん日本においても、スマホのない生活は考えられないものになっている。しかし中国ではそれ以上に、スマートフォン決済によるキャッシュレス化がデジタルエコノミーの進展を加速させているのだろう。
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