「満たされるほど不自由になる」と老子が説く真意 論語と老子に学ぶ「欲」との正しい向き合い方

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次から次へと出てくる「欲」にはどう向き合えばいいでしょうか(写真:sindlera/iStock)
「お金持ちになりたい」「モテたい」「SNSのフォロワーを増やしたい」。多くの人が少なくとも1つくらいは欲を持っているでしょう。一方で、日本では欲をむき出しにしたり、欲のままに生きることは恥ずかしいともされます。本稿では、東洋思想を基盤とする独自の考えを構築・実践し、数多くの企業経営者と政治家を育て上げてきた田口佳史氏の新著、『論語と老子の言葉 「うまくいかない」を抜け出す2つの思考法』から、論語や老子が考える「欲」との付き合い方について紹介します。

論語は「欲」をどう説いているか

お金持ちになりたい。
人に認められたい。
あの人は人気があって羨ましい。
もっと優雅な生活がしたい。
さらに高いポジションにつきたい。
みんなが憧れるような華やかな仕事をしたい。

人それぞれ、じつにさまざまな欲があります。単純に「欲」と言うと、真っ先にネガティブなイメージを持つ人も多いでしょう。「できれば持ちたくないもの」「なくしたいもの」と捉える人もいますが、「欲」とは必ずしも悪いものではありません。たとえば「意欲」。これも立派な欲ですが、「なくなった方がいいもの」ではありません。

近代経済の父と称される渋沢栄一も論語を座右の書としていました。『論語と算盤』という著書を残すほどですから、相当な「論語読み」です。そんな渋沢も強調していたのが「論語は利を否定していない」という部分。利益を得ることが悪いのではなく、「どうやって利を得るのか」が大事だと繰り返し主張しています。

論語の言葉を取り上げてみましょう。

富と貴きとは、これ人の欲するところなり。その道をもってこれを得ざれば、処らざるなり。
(大金も、人が羨むポジションも、道に反して得たものであれば、いずれはなくなってしまう)

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