若者たちが「環境問題」の常識を変えていく背景 「地球温暖化対策」で私たちが取り組めること
そして、もうひとつ大切なのが「常識」を変えること。これまでは「エネルギーをつくるのにCO2が出るのは当たり前で仕方がないこと。だからがんばって減らしていこう」という考え方でした。
それを「CO2を出さないのが当たり前」という認識に変えていくことも、今後重要になっていくと思います。
レジ袋有料化は人々の意識を変えた
安部:江守さんから見て、2020年7月からスタートした「レジ袋の有料化」という施策はいかがですか。批判もありましたが、僕としては有料化が始まったことも、これまでの常識が変わったきっかけのひとつかなと考えていて。自分自身のことでいえば「有料なら、わざわざ袋に入れてもらわなくていいかも」と思うようになりました。
江守:まず、レジ袋の有料化は小泉進次郎環境大臣の思いつきで実現したような印象を持っている人もいるかもしれませんが、実は以前から長年議論されていたことだったんですね。現在検討されている、使い捨てフォーク・スプーンの有料化や代替素材への変更についても同様です。
これまで議論されてきたことが、小泉さんが環境大臣になったタイミングで社会実装することになっただけで、突然生まれたアイデアではないんです。
レジ袋やスプーンなども、有料化によって大幅にCO2が減るわけではありません。ただ、これまでの「使い捨て文化」が見直され、いらないものを大量に無料でもらうことが当然だった状態から、必要なぶんだけを買うのが当然という常識の変化になったと思っています。
安部:プラスチックの原料である石油を使っている以上、消費量だけを減らしたところで、そこまで大きくCO2の排出量は変わらないということですよね。でも、国民一人ひとりに与えたインパクトは大きいと。
江守:「燃やさない」「つくらない」ことはCO2を排出しないことになるので、方向性としてはもちろんプラスだと思います。
安部:僕が環境問題におけるレバレッジ・ポイント(※)だと考えていることのひとつが、2019年9月にニューヨークの国連気候行動サミットで、スウェーデンの環境活動家であり、当時16歳だったグレタ・トゥーンベリさんが声を上げたことです。
江守さんは、グレタさんのように若い人があのような場で批判をしたことについて、どう思われましたか(※レバレッジ・ポイント:小さな力でも、大きく動かすポイントとなるもの)。