若者たちが「環境問題」の常識を変えていく背景 「地球温暖化対策」で私たちが取り組めること

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江守:やっぱり、彼女の存在は特別だったと思います。私たち大人はどうしても、すぐに「仕方がない」と考えてしまう。エネルギーが出るとCO2が排出されるのは仕方がない、東日本大震災で原発が止まったんだから火力発電を動かすのは仕方がない、石油をまだ使うんだから新しい資源を開発するのは仕方がない、と。

でもグレタさんは「これはおかしい、よく考えてほしい」と、我々とは全然違う視点を提供してきた。そして「そう言われてみればそうだよね」と賛同する人が増え、運動が広がっていきました。

リディラバの安部敏樹代表(写真:リディラバジャーナル編集部)

安部:目のつけどころもよかったし、個人が一点突破で大規模な啓発活動をしたというインパクトも大きかったですよね。

江守:いわゆる「グレタ世代」である若者の活動も、これまでとは変わってきているなと感じます。いままでだったら、環境に興味がある若者は「節電しよう」とか、自分の生活でできることをやろうとしていたと思うんですね。

株主総会に参加する若者たちも

でもいまの若者の行動は変わってきていて、たとえば昨年は、地球温暖化対策の強化を求めている大学生が、実際に石炭火力の事業会社に融資しているみずほフィナンシャルグループの株を買って株主総会に参加し、株主として経営陣に意見を伝えるという取り組みをしました。これもすごくおもしろくて、ひとつのレバレッジ・ポイントになっていると思います。

グレタ世代の若者たちが言うのは「地球温暖化が進むことで、自分たちの将来が奪われていく感じがする」ということ。現在のCO2排出を止めなければ、自分たちが大人になったとき、大変な環境下で生活しなければいけなくなる。だから上の世代の人たちだけに任せておけないし、自分たちが声を上げなければいけないのだと、彼らは考えています。

安部:表面的なことだけでなく、環境問題の根本にある「システムが変わらない」という課題や、それを放置した結果起こりうる未来まで理解して、そのうえで変えていくためのアクションを起こしているということですよね。

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