若者たちが「環境問題」の常識を変えていく背景 「地球温暖化対策」で私たちが取り組めること
江守:彼らの話を聞いていて感じるのが、すごく倫理的なセンスを持っているということ。結局、先進国がCO2を出すことで被害を受けるのは発展途上国で、我々の生活は誰かの犠牲のうえに成り立っている。それに耐えられなくて、声を上げ始めたとよく聞きます。
ハーバード大学のエリカ・チェノウェスという研究者は、人口の3.5%が非暴力的な抗議運動をすることで、システムを変えられるという研究結果を出しています。それくらいの人数が本気で立ち上がれば、運動を支持する人も増えるでしょうし、結果として問題解決にもつながると思います。
システムチェンジの力になる
安部:環境問題のシステムチェンジが起きるためには、何が必要だとお考えですか。
江守:システムチェンジというのは計画して起こすというよりも、環境問題における長期的なトレンドだったり、国内外で起きていることやたまたま起きた事件やイベントなど、さまざまなことの相互作用が起きた結果「気がついたらシステムが変わっている」というイメージです。
エネルギーのシステムについていえば、日本はまず脱炭素をしなければ投資もしてもらえないし、世界から相手にしてもらえない。すでに大きな外圧があるわけですよね。
あとは、近年自然災害が増えていることを実感している人も増えていますし、先ほどもお話したように、若い人たちが声を上げてきている現状もある。
もちろん、声を上げて活動することですぐにシステムが変わるとは思っていませんが、いろいろな動きが重なることでシステムは変わると考えると、ひとつの力になるとは思っています。
安部:最近注目されたアクションだと、神戸製鋼が神戸県灘市に増設している石炭火力発電所をめぐって、周辺住民が環境アセスメントの手続きなどに問題があったとして、計画の確定通知を取り消すように求めている裁判がありますよね。2021年3月の判決では退けられ、控訴予定になっています。
この裁判も、個人がシステムチェンジのために動いた。つまり、コンシューマーサイドがレバレッジ・ポイントを効かせようとした行動に見えたのですが、こうしたアクションは有効だと思いますか。