茨城にある「減酒外来」に予約が殺到する事情

断酒が難しいなら、減酒から始めればいい

予約が1カ月先まで埋まっているという北茨城市民病院「アルコール減酒外来」で診療を行う吉本准教授(写真:筆者撮影)

「最近は出社前にはコンビニに行かないようにしています。お酒を買ってしまいそうで怖いので……」
「おお。そうやって正直に言えるようになったのは、いい傾向だね」
医師は笑顔で男性患者を力づけた。

ここは北茨城市民病院が2019年に開設した「アルコール低減外来」。この4月、大学病院では日本で初の取り組みとなる「アルコール低減外来」を誕生させた、筑波大学附属病院の吉本尚准教授の診察室だ。

勤務中に酒を飲むように

男性患者は30代。数年前に難病を発病し、働いていた企業を辞めざるをえなくなった。その後職種を変えて転職したが、病気の憂さを酒で晴らすようになっていく。帰宅後だけでなく、出社前、そして勤務中にこっそり酒を飲むようになるまで、時間はかからなかった。

ほどなく勤務中の飲酒が周囲に気づかれるようになり、社内で大問題に。心療内科に通う一方、社内に酒を持ち込まないようにする持ち物チェックや、帰宅時の同行など、同僚のサポートを得て、アルコール依存症克服を目指した。

そんな矢先、やってきたのがコロナ禍だ。出社が減って周囲の目がなくなった分、再び酒量が増加。半年ほど前には酔っ払って乗った自転車で転び、病院に運び込まれた。そこでたまたま宿直医だったのが、吉本氏だ。「明日にでも来て」。そう言われて、吉本氏のアルコール低減外来で治療を始めるようになったという。

「お酒の量は減らなくても、お酒の害をまずは減らそう」という吉本氏の提案で、男性は仕事中だけは、絶対にお酒を口にしないことを約束。吉本氏は言う。

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