「起業志望の若者は甘い」と語る22歳起業家の真意 理想実現のためには「ダークな部分」を直視せよ

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次の時代のメインストリームになるであろう会社は、単純に時価総額ランキングという指標だけではない、という世界基準ができつつある中、それに沿った若い世代の起業家が登場しつつあるわけです。

いままでの価値自体が失われるかもしれないわけですから、今後、日本から輩出される起業家には、まだまだ将来性があると僕は思います。

江副はいない、しかしリクルートは続く

『起業の天才!』のあとがきに、著者の大西康之さんが、江副さんの石碑の前にたたずむ場面が描かれています。その石碑の存在は、ほとんど誰にも知られていない。けれども、リクルートという会社はいまも残っている――。

非常に叙情的で、なおかつ象徴的なラストシーンです。そして、これこそが、江副さんが学んだドラッカーの考え方や、経営におけるファクトとロジックを突き詰めた、その先にある理想像だと感じ、胸に残りました。

リクルートは、一代で大きな会社になり、江副さんが失脚しても成長していきました。そして、僕のように江副さんを知らない世代が増えても、そのサービスは残っていて、リクルートのDNAは世の中に広がっている。

ここにはほとんどの経営者が共感するのではないかと思います。自分がいなくなっても続くものにしたい。自分自身のことは忘れられてもいいんだという人は少ないと思います。

僕が目指しているのも、やはり同じです。ただ、僕の場合は、会社がそこに残っていなくてもいい、それよりも、僕の立てた「問い」が残っていてほしいというのが理想像です。

必ずしも、会社のサービスが残っていることがいいとは限らないのがこれからの時代です。これまでは、物がない中に会社を作るという時代でした。ですから、豊富にサービスが行き届き、多くの人がそれを享受することがゴールであり、それが永続的に残っていくことが理想像でした。これこそ、その時代に仕込まれていた運命でもありました。

しかし、これからは、リサイクルする、リユースする、あるいは社会に増えすぎたムダなものや、排除しなければならない邪悪なものなどの課題を抱え、どう解決していくのかという時代です。

会社が生まれるときに、その会社とサービスが将来的には消滅していることが、ひとつの価値の証明になりうる場合すらあるでしょう。二酸化炭素の排出を減らさなければならないという課題を掲げた会社の理想は、その会社が活動する必要がなくなった状態ですよね。

そのように変わりつつある世界に、僕は、自分の問いを残したいと思っています。「ビジョン」が自分のなかで「問い」になっていく。決して経営者の頭の中だけにある未来ではなく、多くの知性が集まった未来を見るべきではないかという僕の考えは、やはり間違っていなかったんだ、『起業の天才!』を読んで、そう思いました。

(構成:泉美木蘭)

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