「ウェスティン・シンガポール」の堅実なる秘策 12年越しに再進出した高級ホテルの戦略とは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
12年越しで、再びシンガポールに進出したスターウッドホテル&リゾートの高級ホテル、ウェスティン。一体どんな戦略で戻るのか。再上陸を果たしたホテルについて、ウェスティン ホテル&リゾート グローバル・ブランドマネジメント上席副社長のブライアン・ポピネリ氏に話を聞いた。

 

大きな窓とベイエリアの景色が開放感あふれる高層階のロビー (写真:ウェスティン・シンガポール)

2013年末、12年ぶりにシンガポールへの再進出を果たしたウェスティンホテル。シェラトンやセントレジスなどをはじめ、9つの高級ホテルブランドを展開するスターウッドウッドホテル&リゾートの中でも、正統派ラグジュアリーホテルブランドとして人気が高い。

今回、新たにオープンしたウェスティンホテルは、シンガポールの中でも最も開発が進むベイエリアにある。現在、金融機関やIT企業などが相次いで近隣に移転しており、ファイナンスを中心としたビジネス街が形成されつつある注目のエリアの一つだ。

また、今ではシンガポールを代表する観光スポットにもなった「マリーナ・ベイ・サンズ」(超高層建物の上にある、巨大な船形のプールが有名)のほか、マーライオン、中華街が徒歩圏内という、観光にも非常に便利なエリアだ。

12年越しの、シンガポール再進出

今回の再進出に至った決め手は、何だったのか。その辺りの話を、ウェスティン グローバルブランドマネジメント上席副社長のブライアン・ポピネリ氏と、ウェスティンシンガポール ジェネラルマネジャーのランス・J.オレドニック氏にお伺いした。

画像を拡大 (左)ウェスティン ホテル&リゾート グローバルブランドマネジメント上席副社長 ブライアン・ポピネリ氏
(右)ウェスティン・シンガポール ジェネラルマネジャー ランス・J.オレドニック氏

――そもそも、今回、ウェスティンがシンガポールに再進出を決めた決め手は、一体何だったのでしょうか。

ポピネリ 我々は、12年前にシンガポールから撤退してから、常に、そして積極的に、次のしかるべき好機を求めていました。我々は、最適なロケーションと、共にビジネスビジョンを描くことができる相応しいビジネスパートナーと組むことに、焦点を絞っていました。そして、いつ、どこで、ビジネスを展開するかということを、とても戦略的に進めていました。やっとここに巡り会い、それが実現しました。

――もう少し具体的に、今回のオープンまでのプロセスを教えていただけますか。

ポピネリ 実は、このホテルの計画は4年前に始まりました。建物の契約書にサインして、建設が始まり、さらにオープンまで、時間はかかりましたが、我々はまたマーケットに戻ってきました。

ここシンガポールにホテルが復活したことは、この上なく嬉しいですし、ウェスティンというブランドにとっても、ここは、限りなくビジネスチャンスが広がっています。このホテルによって、ブランドとして以前の(シンガポールの)ホテルより、さらに高いレベルに行けることでしょう。

――ブランドとしても、念願が叶ったのですね。因に、新しいホテルのターゲット層を教えていただけますか。

オレドニック ウェスティンでは、様々なゲストの方をお迎えしたいと考えています。ロケーションの特性もあり、平日は国内外のビジネスマンの滞在が多いです。しかし、週末にはシンガポールに住むローカルファミリー層の週末滞在 (staycation=stay + vacationの造語)などにも活用してもらえれば、と思っています。

また、宿泊以外のゲストにも、ホテルを利用してもらえるように、飲食の施設も充実しています。例えば、33階にはテラスバーがあるのですが、このホテルと同じビル内のオフィス、または近隣のオフィス街のビジネスマンなどが仕事帰りに立ち寄る、というようなイメージで考えています。実際に、アフター5ともなれば、仕事帰りの方々で大いに賑わっており、宿泊客以外のゲストの方の利用にも一役買っています。

とても雰囲気の良いレストランバー「COOK&BREW」。テラス席が併設されたバーエリア(左)とモダンな雰囲気のダイニングエリア(右)
吹き抜けの空間が心地よいシックなロビーバー
(左) ゆとりのある部屋と高層階ならではの美しい眺め
(右) テレビが埋め込まれたスイートルームのバスルーム

――あらためて、ウェスティンブランドのビジネスの状況を教えていただけますか。

ポピネリ ウェスティンの事業自体はここ3年連続で伸びていて、マーケットシェアも確実に広がっています。

特に2014年は、ウェスティンにとって特別な年です。先月には、200軒目のウェスティンホテルが中国の重慶でオープンしました。これは、ウェスティンブランドにとって喜ぶべきマイルストーンです。さらに、ウェスティン全体としては、年内に9軒のホテルが増える予定です。また、現在、アジアには既に43軒のホテルがあるのですが、今後22軒が増える準備が進められています。

ビジネスマンがホテルを選ぶ時に、重要視するポイントのひとつに交通の便(アクセス)がありますが、近い将来、地下鉄の出口がホテルのある建物と直結することも、ウェスティンにとっては、さらなる追い風となります。

次ページ“ラン・ウェスティン”と“レンディング・ギア・プロジェクト”
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事