「ウェスティン・シンガポール」の堅実なる秘策 12年越しに再進出した高級ホテルの戦略とは?

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ラン・ウェスティンとレンディング・ギア・プロジェクト

平日にも関わらず総勢100名以上のランナーが集まった「ラン・ウエスティン」

さて、ウェスティンといえば、ゲストに対するサービスを「6つのウェルネス(旅先のウェルネス)」という形で掲げている。

<ウエスティンの6つのウェルネス>
① Move Well(軽快なエクササイズ)
② Sleep Well(心地よい眠り)
③ Eat Well(健康的な食事)
④ Play Well(楽しいアクティビティ)
⑤ Work Well(能率的な仕事)
⑥ Feel Well(素晴らしい気分)

中でも力を入れているのが、Move well(軽快なエクササイズ)。通常、高級ホテルでの運動と言えば、プールまたはマシーンやヨガスペースなどを備えたジムが標準装備になりつつあるが、ウェスティンが新たに提案しているものに「ラン・ウェスティン」がある。

その名の通り、ランニングをサポートするサービスで、例えば、ランニングマップを配布し、全く土地勘のない場所に滞在しているゲストが、安心してジョギングできるよう配慮したり、特定の日時には、ホテルのランニング・コンシェルジュと一緒にゲストがホテル周辺を走る、というものだ。

また、それに付随し、旅先でスニーカーを持参していないゲストを想定し、「レンディング・ギア・プロジェクト」を立ち上げた。これは、スポーツメーカーのニューバランス社とのコラボレーションで、滞在するゲストにランニングシューズやウエアなどのレンタルをするというものだ。急な出張などで、仮にスニーカーやウエアを忘れても、リーズナブルな価格でランニングシューズなどを借りることができる、というシステムになっている。

そして、ウェスティン・シンガポールでは、その「ラン・ウェスティン」と「レンディング・ギア・プロジェクト」の両方を体験するイベントとして、ランニンングイベントを行った。

このイベントは、ホテルをスタートとゴール地点とし、ベイ・エリアを回って帰ってくるという全長3kmのコースだ。大会当日は、現地のプロや100人を超えるローカルランナーが参加する、大盛況のイベントとなった。

また、このイベントにあわせて、20人のゲストがランニングシューズをレンタルすると、1足の新品のランニングシューズが途上国の子供たちに贈られるという、チャリティ企画も行われた。

(左) マリーナ・ベイエリアというロケーションを活かしたランニングコースを、100名を超えるランナーが駆け抜けた
(右) イベントでは率先してグループをリードするポピネリ氏

12年という長い年月をかけ、こだわりぬいたロケーションとパートナーを得たシンガポールウェスティンの歩みは、まだ始まったばかりだ。

ナオヨ マディソン ファッション ジャーナリスト

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ナオヨ マディソン / Naoyo Madison

青山学院大学 国際政治経済学部卒業。大手総合商社に入社し、配属先の繊維本部で欧州系インポートブランドを担当。その後、パリ ソルボンヌ大学に留学する為に渡仏。帰国後は、ラグジュアリーブランドを扱うセレクトショップでアシスタントバイヤーとして勤務した後、イタリア系ブランドのジャパン社に転職。数社にてキャリアをつみ、MDバイヤーとして活躍。現在は、ジャーナリストとしてロンドンやパリをはじめとする国内外のファッションショーをまわり、ランウェイレポートやインタビュー、ファッションビジネスを中心とした記事を執筆する。

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