幸せな組織をつくれる人と不幸にする人の決定差 面倒な仕事に挑み生産性高める為に必要なこと
つながりに格差のある組織では、「情報の格差」が生じる。つながりの少ない人は、つながりが少ないゆえに全体の情報をあまり持っていない。このために、確認したいこと、質問したいことが頻繁に生じる。
そして、つながりの少ない人が、少ないながらつながっている先は、上司ということになる。ところが上司とのつながりは、上下の関係であり、常に評価される関係でもある。このため、確認や質問を行うと「そんなことも知らないのか」「それくらい自分で考えろよ」という低い評価を得るリスクが常にあることになる。そこで、リスクを避けるために、確認や質問をしないという選択をしがちになる。
このほかにも、つながりを特定の人が独占すると、必然的に起きる好ましくない現象がある。それが「孤立」である。孤立した人が増えると、孤立した人だけではなく、集団全体のムードが悪くなる。全体の生産性や幸福度を下げるのである。
このような話を聞いても、つながりの独占は自分には関係ないと思う人もいるかもしれない。しかし、これはよほど意識しない限り容易に生じる。
上司と部下を線で結んだ組織図(あるいはレポートライン)を思い浮かべていただきたい(下図参照)。組織図とは、そもそも、上司が独占的に部下の全員とつながり、部下は上司とだけつながる形になっている。いわば上司がつながりを独占し、部下が孤立する構造である。
従って、組織図通りのレポートラインに沿ったコミュニケーションを取ると、「データで証明された不幸な組織」ができあがる。
組織図を越えてコミュニケーションをとることの大切さ
マネジャーが仕事をするためには、何らかの形で権力が必要である。マネジャーの権力の源泉の1つが、組織図に沿った人事・予算・情報に関するレポートライン上の統制である。
しかし、データは突きつける。この権力構造だけに頼った組織は、必ず不幸で生産的でない組織になるということを。従って、マネジャーは組織図やレポートラインに過度に頼ってはならない。「組織図を越えろ」とデータは突きつける。
これは「できればあったほうがよい」という、いわゆる「ナイス・トゥ・ハブ(Nice-to-have)」 な選択肢ではない。組織図を越えなければ、従業員が不幸になり、ストレスや罹病が増え、離職が増えるのである。データによってこれが証明された今となっては、組織図やレポートラインを守る発想での職場運営は、マネジメントとして失格である。
この要求に応えるためには、マネジャーは組織図上のポジションやレポートライン上の統制権限を越えた、1人の人間として独立した判断力、機動力、人的ネットワークが必要である。そして、何よりも、人間として魅力と誠実さ、人への敬意と共感が必要である。単に「立場が人をつくる」に頼ってはいけないということだ。
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