幸せな組織をつくれる人と不幸にする人の決定差 面倒な仕事に挑み生産性高める為に必要なこと
以前から、組織にとってコミュニケーションが大事、とよくいわれてきた。このウエアラブル端末を使えば、誰と誰がどれだけ対面でコミュニケーションを取っているかが客観的に数値化できた。
意外なことに、コミュニケーションの量(時間や頻度)やコミュニケーション相手の人数に、組織の幸せとの関係はまったく見出せなかった。これらと幸せとの間には、ごく弱い相関さえもなかった。
このことが表しているのは、一般論として、「コミュニケーションが多ければよい組織になるわけではない」ということである。コミュニケーションの量は、状況によって、ちょうどよいレベルがあるので、一律に増やせばよいわけではない、ということがわかったのだ。
たとえば、プロジェクトの開始時に、新しく人が集められた状況を考えよう。仕事上、同僚になった人がどんな人で、どんなことが得意で、質問に対しどんな反応をしがちか、などは、最初はわからない。このようなときには、コミュニケーションを大いに増やすべきであるし、それができるかどうかで、仕事の進み方も大いに変わるであろう。
一方、プロジェクトが終盤で、すでに決まった仕様に沿って、各人が実装やテストに集中すべきときには、むしろコミュニケーションを減らすべきだろう。そこで無理にコミュニケーションを増やせば、集中すべき作業への時間が取れなくなり、幸せではなくなるであろう。このような例を考えれば、一律にコミュニケーションは増やせばよいものではないことがわかる。
ところが、データを詳しくみると、ポジティブで幸せな組織に普遍的にみられる特徴があることが明らかになったのである。これは裏返せば、ネガティブで幸せでない組織には、逆の特徴が見られるということでもある。ここではそのひとつを紹介することにしよう。
幸せな組織は人どうしのつながりが均等
その特徴は、人と人とのつながりのパターンに現れた。前述のように名札型ウエアラブル端末を使うと、誰と誰が対面による面会によってつながっているかがわかる。この人と人とのつながりを使って、ソーシャルグラフが描ける。
実は、幸せな組織では、人と人とのつながりの網目が、組織内で均等に近く、フラットにいろいろなところがつながりあっているのだ。
逆にいうと、幸せでない組織では、特定の人につながりが集中し、それ以外の人のつながりが少なくなっている。すなわち、つながりの数に関して「格差」が生じていた。
先に述べたように、コミュニケーションの相手の多寡は幸せとは関係ない。しかし、つながりの総量が多い組織でも、総量が少ない組織でも、つながりが人によって偏っているかどうかが組織の幸せに決定的な影響を与えるのだ。
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