元技術者の異端シェフが危機で見せた大胆行動 電子部品会社から転身して三つ星獲得の凄腕
米田:僕のレストランの場合、いまは掃除に膨大な時間がかかっているんですね。そもそも料理人は時間的に働きすぎていますから、掃除をAIに任せられれば、作業負担を減らすことができます。ゴミの回収や分別、生ゴミを肥料にするなど、それぞれのレストランがAIの力で効率的に行うことができるようになれば、環境保護にも役立つのではないでしょうか。
食べ手はいまレストランにどう向き合うべきか
──すごくすてきな未来のレストラン像です。加えて私が気になったのは、掃除を徹底しているというエピソードです。感染はもう運の良しあしで決まるようなところもありますし、感染者に責任はないと思います。
一方で、感染は有名人でも一般人でも区別せず容赦なく襲いかかり、芸能界などセレブリティーにも多くの感染者が出ました。ところがスターシェフで感染したという話は、まったく聞きません。まるで感染源と言われているような飲食店で、毎日接客しているにもかかわらず、です。これは、以前から食中毒などに細心の配慮をして、掃除をしまくってきた経験が生かされているのではないかと思います。
米田:確かに、レストランは日ごろから衛生には気をつけているので、そのような傾向はあるかもしれません。今は飲食店がクラスタになっているかのように見られていますが、食事をするから感染するのではなく、マスクを外して大人数で集まるから、感染が拡大するのです。つまり、レストランでなくても、マスクを外して大人数で集まれば、感染のリスクは高まります。
これだけの事実がもうわかっているのだから、飲食店を一律にダメと見なすのではなく、科学的根拠に基づいてマニュアルを策定し、その基準をクリアしているレストランは通常営業を行い、お客様は少人数で安心して食事をしていただきたいですね。安心できる基準の制定を求めて、いま再び署名活動をしています。これを読んでいるフーディーズのみなさんは、感染対策がじゅうぶんに取られているお店かを自身の目で確かめて、無理のない範囲で外食していただけたらうれしいですね。
──黙食、孤食の孤独のグルメが推奨される一方で、ひとりで食事に行ってひとつのテーブルを占領するのは申し訳ないとか、夜は仕事で遅くなるけれど、昼にランチセットではなく有名なディナーメニューを注文したら非常識だと思われるのだろうか、という声も聞きます。