服を買い放題だった私が抱いた「底知れぬ不安」 「買わない生活」と「キラキラ」の悩ましい関係

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でも、そうなるとお金がもらえなくなるという現実がたちまち襲ってくるわけで、となると、人生の可能性はその分、狭まってしまう。ってことは、会社を辞めるって、世間でよく言う「金はあるけどヒマがない」状態から「ヒマはあるけど金がない」状態へ移行するってことなのか? いやいやどっちもどっちじゃん。ああ本当に人生ってうまくいかないったらない。幸せはいったいどこに……?

などとぐるぐる考えていると、どうにもわけがわからなくなってくる。

というわけで、私はまず、頭を次のように整理した。

どっちもどっちってことは、逆に考えれば、どちらをとってもそれぞれメリットデメリットがあるということだ。それを前提として、自分はいったいどちらを選ぶのか。辞めるのか、それとも辞めないのか。

案外結論はすぐに出たね。

どちらの道にも苦労があるなら、やはり、辞めるほうを選ぼう。その先に何があるかはわからないけれど、何しろ一度きりの人生。やらない後悔より、やった後悔。同じ後悔なら「やるだけのことはやったのだ」と思えるほうが、少なくとも自分の納得にはつながる気がした。

生きていくのにいくら必要か

そうと決まれば、あとはそのときに備えて対策を練るだけだ。つまりはお金の計算である。

私が考えたのは、まずは、自分がどのくらいのお金があれば生きていけるのかを見極めてみようということだ。その金額によって、同じ金額でも「ない」にもなれば「ある」にもなるのではないだろうか。

というわけで、生きていくのに最低限必要な食費、住居費、その他の費用を一生懸命計算した。机上の計算だけでなく、実際に食生活を変えたり、お金を使わないレジャーを体験したりもしてみた。

いやいや、何事もやってみるもんですな。結果、非常に心強い事実が判明したのである。

私がラッキーだったのは、たまたま原発事故をきっかけに「ノー冷蔵庫ライフ」を始めたことであった。このことはいずれ詳しく書こうと思うが、それだけのことで信じられないほど劇的に食費が減ったんである。

保存ができないとなると買いだめが効かないわけで、となると「すぐその日に食べるもの」だけを買うことになり、そうなってみると、1食200円もあれば十分食べていけることがわかった。いやもうまったく、これまでいかに「食べきれないもの」を買い込んできたかって話だ。恐るべし冷蔵庫!

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