音楽通以外も知ってほしい「黒人と歌」の苦闘史 ロック、R&B、ヒップホップの源流は黒人音楽

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ここで再び、黒人たちの音楽へ話を戻しましょう。

ブルースのミュージシャンたちの噂を聞きつけた白人たちは、彼らの演奏を録音してレコードとして発売しました。ポーランド移民であるレナード・チェス、フィル・チェスの兄弟が1950年に設立したチェス・レコードも、ブルースをはじめとする黒人音楽を手がけ、マディ・ウォーターズやチャック・ベリーの主要なレコードを出しています。

しかし、黒人たちの音楽はレイス・ミュージックと称され、白人たちの音楽と差別的に分けられていました。そのため、レコードとして売られるといっても、黒人たちの音楽は主に黒人社会のあいだで楽しまれるものでしかなかったのです。

テレビ放送の開始で、ラジオの枠が与えられた

テレビが一般的に普及するまで、ヒット曲はラジオで放送されることで作られるものでした。1941年にアメリカで白黒テレビ放送が開始され、経済的余裕のある白人たちがテレビを買うようになり、わずかですがラジオの需要が下がります。

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すると、ラジオの空いたチャンネル枠が黒人に与えられるようになり、黒人音楽の番組が作られるようになりました。その結果、白人のなかにも黒人音楽を好む人たちが出てきて、レコードも売れるようになっていきました。

1949年に、レイス・ミュージックは、「R&B(リズム&ブルース)」と改名されて、黒人音楽のヒットチャートができます。すると、黒人たちのあいだでも、ヒット曲という概念が浸透し始めるのです。

R&Bは現代でも人気ジャンルの1つですが、具体的にはどのような音楽を指すのかイメージしにくいかもしれません。ただ、こうした黒人音楽の流れを踏まえると、「黒人のポップス=R&B」ととらえてよいと思います。

みの ミュージシャン

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Mino

1990年シアトル生まれ、千葉育ち。2015年に3人ユニット「カリスマブラザーズ」を結成。YouTube上で動画配信を開始し、チャンネル登録者数100万人を獲得する。2019年より独立し、個人名義のYouTubeチャンネル「みのミュージック」を開設。現在、チャンネル登録者数は30万人を超える。また、ロックバンド「ミノタウロス」としても活躍。2020年にアルバム『肖像』をリリースしている。2021年より、Apple Musicのラジオ番組「Tokyo Highway Radio」のDJを担当している。

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