音楽通以外も知ってほしい「黒人と歌」の苦闘史 ロック、R&B、ヒップホップの源流は黒人音楽
ソウルの代表的な歌手としては、“クイーン・オブ・ソウル”、“レディ・ソウル”と称されるアレサ・フランクリンも挙げられます。1961年のデビュー当時はかなり甘めのポップスを歌っていましたが、その後ソウルに転向し、ゴスペルをベースにした力強い歌声で世界的な成功を収めました。
ヨーロッパ各地から移民たちが持ち込んだ音楽と、土着の音楽が混ざり合った「フォーク」は、白人たちだけの音楽というわけでなく、黒人たちも歌っていました。
その1人、レッドベリーはフォークの数多くの曲を知っているうえに、ブルースやゴスペルなども歌うことができ、“生きるジュークボックス”とも称されています。また、12弦ギターが上手く、ピアノ、マンドリン、ハーモニカ、ヴァイオリン、アコーディオンも演奏しました。
1933年、殺人未遂罪で服役中だったレッドベリーは、フィールドワークで民謡収集をしていたアラン・ローマックスと、その父ジョンと出会います。ローマックス親子は、彼にフォークを演奏してもらって数多くの曲を録音しました。これは、口承で伝わってきたフォークが、ついに音源というかたちで記録された偉大な出来事といえます。
ロック史においても、レッドベリーは最重要人物で、彼の音楽はのちにピート・シーガー、ウディ・ガスリー、ボブ・ディランに影響を与えていきます。
ビートルズに大きな影響を与えた「カントリー」
アパラチア山脈地方に入植した、イングランドやスコットランド、アイルランドからの移民たちが楽しんでいた音楽からも、1つの音楽ジャンルが生まれています。当初はアパラチアン・ミュージック、マウンテン・ミュージックと呼ばれていたその音楽は、1940年代になると「カントリー」と称されるようになりました。
1950年代後半から1960年代に活躍した兄弟デュオ、エヴァリー・ブラザーズは、カントリーの伝統であるハモリのテクニック「クロース・ハーモニー」を継承し、美しいハーモニーを聴かせました。
それは、ビートルズにも影響を与え、ポール・マッカートニーは、彼らを「ビートルズに最も大きく影響を与えた人たち」と評しています。
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