「老後の家選び」ストレスなく暮らす3つの条件 マイホームに「住み続ける」のはデメリットも

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老後の自宅は、売却した場合の金額を把握しておくことが重要になってきます。それは、介護施設に入居する際の費用として、自宅の売却資金を充当するケースがあるからです。所有している金融資産が少なければ、自宅の売却を視野に入れざるをえません。

ただし、いざ売却しようとしても、住宅ローンが残っているのであれば要注意。築30年、40年の築年数が経過した郊外型の戸建ての場合は、とくに売却価格が低くなってしまうからです。売却してもローンが完済できないことも珍しいことではありません。自宅の購入時期が遅く、40代・50代のときにほぼフルローンで自宅を購入した場合は、ローンが残っているケースも多いでしょう。

早い段階で自宅の売却価格を、余裕を持って調べておかないと、急に介護施設に入ることになった場合、買い手を焦って見つけようとするあまり、想定外の叩き売りの状態で自宅を手放すことになります。

子育て用の自宅を特売セールにされないために、早めに老後用の家に住み替えることをお勧めします。この思考が今後いっそう重要になります。ヤドカリのように、住み替えるのです。

夫婦「それぞれの自室」があるとベスト

『老後の年表 人生後半50年でいつ、何が起きるの…? で、私はどうすればいいの??』(かんき出版)。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

老後になればフットワークは落ちるので、大きい貝(家)は必要ありません。それよりも利便性重視です。駅チカの50㎡程度のコンパクトマンションは、老後生活にはうってつけ。駅から近ければ、移動はもちろんのこと、買い物や通院にも便利です。

ただしコンパクトであっても、夫婦各自で1部屋ずつ持つことがポイント。質のいい睡眠が老化防止として最高の薬となるからです。パートナーのいびきで睡眠の質を落としてはいけません。夫婦でも1人の時間がほしいときに1人になれることも、ストレス軽減につながります。

以上のことをご参考に、ぜひ快適で豊かな老後をお過ごしください。

横手 彰太 老後問題解決コンサルタント

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よこて しょうた / Syouta Yokote

不動産会社の日本財託に勤務し、相続など資産の問題をはじめ、数多くの老後問題に遭遇、解決に導いてきた。とくに家族信託のアドバイスに定評がある。1000人以上から相談を受け、延べ79億円以上の財産管理をサポート。メディアに多数出演。著書に『老後の年表』(かんき出版)がある。

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