イオン「デジタル売上高1兆円」の前に残る不安 威勢のよさが目立つ新中計に懐疑的な声も

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イオンの前2021年2月期の業績は、営業収益が前期比ほぼ横ばいの8兆6039億円、営業利益は同3割減の1505億円、最終損益は710億円の赤字(前期は268億円の黒字)だった。

2017年に発表した3カ年の前中計では営業収益10兆円、営業利益3400億円という計画を掲げたが、大幅な未達に。最終赤字はリーマンショックのあった2009年2月期以来で、赤字額は過去最大となった。

営業利益では、これまで稼ぎ頭だった3本柱のうち2本が崩れた。イオンモールなどのディベロッパー事業とイオンフィナンシャルサービスなどの金融事業はコロナ禍での店舗休業が響き、ともに前期比で約4割の減益に。3本柱の残り1本のドラッグストア事業は同16%、内食特需があった食品スーパー事業は同2倍の増益となったが、穴埋めできなかった。

中核の総合スーパーも立て直し段階

特別損失も1128億円と、前期比4割増に膨らんだ。テナント支援のために講じた賃料減免などで339億円のコロナ関連損失を計上したことが大きかった。

今2022年2月期は、営業利益で2000億~2200億円とコロナ前の水準への回復を見据える。最終利益も200億~300億円とV字回復させる算段だ。利益3本柱がそろって復活とはいかないが、食品スーパーの好調持続や中国など海外での業績改善が前提となる。

ただ、コロナ第4波が広がる国内では大型商業施設への休業要請なども検討されている。コロナの感染状況次第での変動リスクは今期も大きい。

さらに見極めが必要なのが総合スーパー(GMS)事業だ。中核子会社であるイオンリテールの前2021年2月期の業績は、営業赤字218億円(前期は56億円の営業黒字)、最終赤字511億円(同12億円の最終黒字)。GMSを中心に約400店展開する同社も、テナント休業や衣料品の不振などコロナ禍の影響を受けた。

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