イオン「デジタル売上高1兆円」の前に残る不安 威勢のよさが目立つ新中計に懐疑的な声も

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イオンは2025年度にデジタル売上高1兆円という目標を打ち出したが、市場関係者の間では懐疑的な声も出ている(撮影:今井康一)

「2025年には1兆円を超えるデジタル売上高を計画しており、『オンラインデリバリー=イオン』というイメージを作りたい」

4月9日に開かれた流通大手・イオンの2021年2月期決算説明会。その場では、2026年2月期を最終年度とする5カ年の中期経営計画も発表された。

吉田昭夫社長の説明で耳目を集めたのは、営業収益11兆円、営業利益3800億円という業績計画ではない。2020年2月期時点で700億円だったデジタル売上高を1兆円に伸ばし、国内小売りトップ規模にするという野心的な目標のほうだった。

「ビジョンはよいが利益未達」の過去

実際、EC(ネット通販)やネットスーパーなど、デジタル強化の準備は進んでいる。ネットスーパー運営のノウハウを得るため、2019年に同分野の最先端企業であるイギリスのオカドと提携。2023年にはAI(人工知能)も活用した自動倉庫を稼動し、次世代型のネットスーパーを立ち上げる。グループ企業のイオンモールも、コロナ禍を機にライブコマースを順次開始している。

新中計では、ほかにも威勢のよい目標が掲げられた。「トップバリュ」などのPB(プライベートブランド)の売り上げについては「現状の2倍となる2兆円」。海外の営業利益は「実額で2倍強」とし、事業全体に占める構成比を20%から25%に引き上げるという。しかし、説明会に出席した証券アナリストから向けられたのは次のような懐疑的な声だった。

「これまでの中計は大きなビジョンを示すが利益は未達。前回と何が違うのか」「デジタルやPBの売り上げ目標は、本社(イオン本体)がよりうまく各子会社にかかわらないと、この数字は達成できない」

市場関係者が懐疑的になるのも無理はない。足元の業績を見ると、不確定要素がまだまだ多いからだ。

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