成毛 ああ、いいですね。実は、ビル・ゲイツに同じ質問をしたとき、同じことを答えていましたよ。
樋渡 そうですか。
成毛 市民の顔とか名前とか、どれくらい覚えてます?
樋渡 1万人くらいですね。
成毛 それは、努力してます?
樋渡 最初はしました。やっぱり覚えきれいなので。でも今は1万人、家族構成もだいたい入っています。
成毛 それだけ知ってるとなると、市民から見るとこの市長はすごい人ですよ。
樋渡 声を掛けられてたとえば「ああ、成毛さん」と答えると、「知ってるんですか」と。「知ってますよ。このあいだ、下のお子さんが小学校に入ったじゃないですか」とか。
成毛 それねえ、しつこいようですけど、ビルに似てるんですよ。ビル・ゲイツに。彼もマイクロソフトの社員のことは2万人くらい覚えてた。
樋渡 そうですか。
成毛 市長はたとえ話って理解できます? ビルは若い頃、まるで理解できなかった。「そんな安い価格なら、うちの犬にだって売れる」と言ったりするじゃないですか。するとビルは「すごいな、おまえの家の犬はセールスができるのか」と。こっちとしては「え?」となる。
樋渡 ああ、僕はね、国会議員に「今度、うちに遊びに来なさい」って言われて、本当に遊びに行っちゃったことがある。そしたら「何しに来たの」って。こっちは来なさいって言われたから行ったのに。僕は社交辞令がわからない。
成毛 ビジョンがないところだけじゃなくて、そこもビルと同じだ、嫌だ嫌だ(笑)。いやいや、すみません、長くなってしまって。時間、大丈夫ですか。
市長は「会長兼CEO」
樋渡 僕、暇なんです。うちは副市長が全部仕事をやっているので。武雄は、副市長が社長。僕は会長兼CEOなので、こういう風に人に会って、あることないことを言うのが仕事。
成毛 そうやって情報を入れるのって大事ですよね。
樋渡 大事です。
成毛 市長になろうと決めたきっかけは、かっこいい町長に会ったことだという話でしたけど、今は、樋渡市長をかっこいいと思う子どもも市内に多いんじゃないですか。
樋渡 ジョギング中に「頑張れよ」と声を掛けられたりしますね。僕からすると「お前が頑張れよ」という話なんですが(笑)。あと、ちょっとひどいと思うんですけど、5、6年前に、中学校の試験で市長の名前を尋ねる問題が出たらしいんですよ。普通、そういう問題出しますか?
成毛 正答率、どれくらいでしたか。
樋渡 95%です。ちなみに、武雄は市長選の投票率が80%以上。たぶん、北朝鮮の次くらいに高いです(笑)。
成毛 すごいな。そのうち、市民の各家庭に市長の写真が飾られたりして。市長、白い馬に乗って登場とか、絶対にしないでくださいよ(笑)。
樋渡 それは「成毛さん、おきつーござんす!」(笑)。白い馬には乗りません。武雄には競輪があるので、どうせなら自転車に乗りますよ。
(構成:片瀬京子)
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