幽霊会員の「フィットネス離れ」が起こす大問題

ビジネスモデルそのものが課題に直面している

さらに月会費への依存の高さ以外にも、フィットネスクラブの事業構造には根本的な問題がある。

フィットネスクラブは、プールがない店舗でも約5億円、プールがあるクラブでは10億円もの開業費用をかけ、およそ10年間で巨額の初期投資を回収するビジネスモデルだ。店舗賃料やプールなどの水道光熱費、スタジオレッスンを行うインストラクターなどの人件費は、会員数が変わっても大きく変わらない。そのため、損益分岐点を超える会員数を集めれば容易に利益を稼げる。大型店ともなると、1店舗当たり3000人程度の会員を集めることが可能だ。

これまで集客が軌道に乗れば容易に稼げる仕組みを確立してきたが、コロナ禍ではこうした「強み」が「弱み」へと一転した。会員数が激減したことで、これまでは成り立ってきた損益分岐点に届かない店舗が増えている。

費用削減を進めるが…

ルネサンスでは、会員数の回復が進んでいた2020年12月頃でも、店舗単位で黒字化していたのは半分近くにとどまっていた。だが会員数の縮小が長期化すると、今まで作り上げられたビジネスモデルが一転して、多額の初期投資を回収できない事態に陥りかねない。

もちろん各社ともただ手をこまぬいているわけではなく、費用削減も進めている。セントラルスポーツでは、水道光熱費などのほか、休会手続きや会員コース変更などの事務業務を受け付ける時間の短縮などによる費用削減も進めている。

ただし、経費削減を進めても、会員数確保のための施策の見直しをしても、やはり現時点では会員数減少をまかなうレベルにまでは至っていない。ついには値上げをする企業も続出している。

ルネサンスは2021年の4月よりフィットネスクラブの料金を税込み月額990円値上げした。従来は約7000円だった平均単価が大きく上昇する。東急スポーツオアシスや野村不動産ホールディングス傘下のメガロスでも、5月以降の値上げ予定が続く。

客離れが気になるところだが、ルネサンスの吉田スポーツクラブ事業本部長は「事前の試算ほどには、値上げによって退会率が悪化しなかった。来館している人にとっては、約1000円価格が上がっても価値がある場所と認識されている」と話す。

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