「車を最安値で買う人」がやっている緻密な交渉 価格交渉が「上手い人」「下手な人」の決定的な差
では、どうすればよいでしょう?
そういうときには、自分の主張についての客観的根拠を示すようにするのです。客観的な根拠を示し、価格の正当性を主張します。
「競合他社の競合商品は11万円です。この商品はそれと同じグレードですが、10万円です」
「当社の仕入れ価格は9万円です。10万円で売っても、当社の利益は1万円しかありません」
「ほかのお客さんにも、つねに10万円以上で売っています。これがそのデータ資料です」
「この消費者向け情報のウェブサイトには、同様の商品の平均小売価格が11万円と出ています」
こういった具合に客観的根拠を示しましょう。そうすることにより、自分の主張について、相手に納得してもらえる可能性が高くなります。
客観的な根拠を持って交渉へ
私が最近、ディーラーに車を下取りに出したときのことです。
乗っていたのは2007年のBMW 530xi、色はブラック。13年も乗っていたので愛着がありましたが買い替えることにしたのです。
まず私は、ディーラーとの下取り価格の交渉に備えて、あらかじめブルーブックで下取り価格を調べることにしました。
ブルーブックというのは、アメリカで販売されているほぼすべての新車・中古車の市場価格が載っている、100年近くの歴史を持つ自動車価格の情報誌のことです。現在ではオンラインでブルーブックの掲載価格を検索することができ、メーカー、車種、年式、オプション、状態などを入力すると、たちまち適正価格が出てきます。
早速ブルーブックのウェブサイトを開き、ディーラーの下取り価格を調べたいのでそのボックスを選択し、それから年式、色、タイプ、状態、マイレージ(走行距離)などの情報を入力していきます。そして算出ボックスをクリックすると、すぐに3995ドルと出てきました。
「え……、こんなに安かったのか」
正直、がっかりしましたが、これが現実です。受け入れることにします。
数日後ディーラーと会い、まもなく下取り価格の話になり、一緒に駐車場に向かいます。しかしディーラー担当者は車の外観をざっと見ただけで、すぐに「席に戻ろう」と言いました。そして、私に、新車で買った車であること、マイレージが6万5000マイルであることだけを確認し、コンピューターに何やら入力し始めました。こちらからはコンピューターの画面は見えません。
私「いくらかな」
ディーラー「2500ドルです」
予想どおり、かなり低めの金額を提示してきました。しかし私は事前にブルーブックでディーラー下取り価格を調べていたので、焦ることはありません。
ディーラー「え、そうなの、じゃあ、ブルーブックのウェブサイトを見てみよう、どれどれ」
またコンピューターに向き直っています。しばらくして、ディーラー「確かにそうだね、わかった。3500ドルでいいよ」と言ってきました。いきなり1000ドルの増額です。
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