「集団から個の時代へ」と言われる一方で、「個の時代なんてやってこない。あれはうそだ」という論説も見かけます。
論者によって「個」の定義がバラバラのため、混乱しているように思いますが、少なくとも私は、ドイツの社会学者ウルリッヒ・ベックが言うように「グローバル化に伴う脱伝統化によって、個人化する社会はいやおうなしに現れる」という論に賛成します。すでに、かつて人々の安心の拠り所だった地域・職場・家族といった集団的共同体が、近年大きく切り崩されているのは事実だからです。
そんな中、果たして集団主義的な日本人は対応していけるのか?という危機感を覚える人もいるでしょう。
しかし、本当に日本人は、集団主義的で「みんなと一緒」が好きなのでしょうか?
世界各国の国民性の違い
世界的に有名な「沈没船ジョーク」というものがあります。世界各国の国民性をおもしろおかしく表現したものです。
世界各国の人々が乗った豪華客船が沈没しかかっています。しかし、乗客の数に比べて、脱出ボートの数は足りません。したがって、その船の船長は、乗客を海に飛び込ませようとしますが……。さて、船長が各国の人を飛び込ませるために放った言葉とは何でしょう?
ロシア人に対して・・・「海にウォッカのビンが流れていますよ」
イタリア人に対して・・・「海で美女が泳いでいますよ」
フランス人に対して・・・「決して海には飛び込まないでください」
イギリス人に対して・・・「紳士なら海に飛び込めますね」
ドイツ人に対して・・・「規則ですので海に飛び込んでください」
日本人に対して・・・「みなさんはもう飛び込みましたよ」
思わず「あるある」と納得される人も多いのではないでしょうか。日本文化論的にも「日本の社会は欧米に比べて集団主義的な傾向が強い」というのは、海外でも知られています。が、はたしてそれは本当でしょうか?
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