人口減少が速いということは、それだけ高齢者世代と若年世代との人口の差が大きく、構造がいびつであるということだ。2060年の日本の人口ピラミッドは、頭でっかちの見るからに不安定な構造だ。年金などの負担と給付の関係において、世代間の大きな格差が生じてしまうなど、社会保障制度の維持はより難しくなる。(左図)
人口増加は抜本的な解決策ではない
人口を増加させることで日本経済が直面している種々の課題を乗り切ろうとすることは、ねずみ講と同じ発想であり、抜本的な解決策ではない。たとえば財政赤字によって政府の債務が増えていっても、人口の増加があればその分だけ問題は緩和されるから、人口が増加を続ければ、問題を次々と先の世代に順送りすることが可能になる。しかし、永久に人口を増加させることはできないのだから、この手法は、いつかは破綻する。
ねずみ講では、システムに参加する人が増え続ければ、新規加入者の支払うお金で先にシステムに加入した人たちがうまい汁を吸うことができる。しかし、ねずみ講は必ずどこかで参加者の増加が止まり、システムが破綻してしまう。
国の人口増加のほうは、普通のねずみ講よりもはるかに長い期間持続させることが可能だが、永久に続けることはできないという点では同じだ。人口が増え続ければ、いずれ日本列島から人があふれてしまうはずで、永久に人口増加を続けることは原理的に不可能だ。いつかは、人口増加が止まらざるをえず、そこから先は問題を次の世代に押し付けることができなくなってしまう。
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