郵貯膨張!--日本郵政はどこへ向かうのか vs.民間の百年戦争時代に逆戻り
現在、100%政府出資会社の日本郵政は最終的に政府出資が3分の1超に、金融子会社2社に対する日本郵政の出資比率も3分の1超にする。したがって、国は日本郵政の経営上の重要事項に関して否決権を有し、日本郵政と金融子会社の関係もまたしかりだ。間接的ながら、国は金融子会社2社の実質支配権を持つという解釈が成り立つ。
「官営郵貯の復活」。少なくとも、今回の事態を民間金融業はこう断じている。そこに預入限度額引き上げも加わるのだから、「官の肥大化」と民間金融機関が激しく批判するのも無理はない。
しかし、そんな批判も亀井郵政相はどこ吹く風だ。
「相手(郵貯)が弱くなることで満足するようでは、民間金融機関はよくない。それでは活性化しない」と語り、「信金、信組など中小金融機関はペイオフの預金保護額を1000万円から2000万円に引き上げて、預金保険料も引き下げて負担を軽減してもいい」とまで明言した。郵貯のためならば、預金保険制度の変更も辞さない。日本の金融制度の根幹が、郵貯を中心に回り始めそうになった瞬間だ。
白川方明日銀総裁は4月7日、定例会見で郵政事業の見直しに触れて、こう語っている。
「中長期的に見て金融システムの安定を維持するためには、政府と金融のかかわり方は非常に重要。郵政改革も長い目で見て、わが国の金融システムや市場に大きな影響を与える可能性があることを踏まえたうえで、実行するという姿勢が大事だ」
金融制度、金融システムという大きな枠組みの中での制度再設計という視点が求められるという、日銀からの注文だが、現実の見直しはこれとは針が逆回転している。