東洋経済オンラインは上場企業で働く非正社員の実態を毎年調査している。今回のランキングでは非正社員比率の高い会社を紹介したい。
有価証券報告書にはいわゆる「非正規社員」が「臨時従業員」として規定され、その数が全従業員数の1割以上を占める場合、年間の平均人数を開示することが義務づけられている。
そこから、上場企業の非正規社員比率を割り出して、上位500社をランキングした。
データは各社の決算期に合わせて、2019年12月期~2020年11月期の有価証券報告書より取得した。非正社員数、従業員数、5年前と比べた非正社員の増減数も併載している。5年前との変化を比較することで、各企業が置かれた状況や人事戦略の一端もわかるだろう
小売業界の企業が上位にランクイン
昨年調査に続き、100円ショップを展開するセリアが96.0%でトップに。おしゃれな店構えと、データに基づいた雑貨の品ぞろえなどにより業績を伸ばしている。店舗拡大に伴って非正社員も増やしてきた。最新の調査で非正社員数は1万人の大台を超えた。
2位も昨年と変わらず、全国で個別学習塾を展開する東京個別指導学院(95.5%)だった。一人当たりの指導に人員が必要になる個別指導塾は、大学生などのアルバイト講師が多く必要となるため、非正社員の多さと直結している。
同じく個別主体の学習塾関連は非正社員比率が高く、リソー教育(19位、非正社員比率87.6%)や城南進学研究社(36位、同85.5%)と、上位に入った。
3位のパレモ・ホールディングスは92.3%となった。婦人衣料品や雑貨専門店を展開する企業で、足元では、新型コロナによる影響も大きく不採算店の退店を進めている。雑貨専門店は300円均一に特化するなど、事業改革のさなかにある。
非正社員比率が90%以上の企業は8社、80%以上は72社だった。一般的な従業員より非正社員の人数が多い会社(非正社員比率50%超)は436社あった。
上位にランクインしているのは、外食・小売業界の企業が多い。新型コロナ感染拡大の深刻化で、営業時短や外出自粛が業績にダメージを与えている。非正社員の給与は時間給の場合が多いので、働く時間の短縮は労働者の収入に直結することが懸念される。
なお、集計時期の関係で、3月期決算会社は新型コロナ以前の集計となっている点には留意が必要だ。